男 女 逆 転 け ん か っ ぷ る

♀けんかっぷる3♀ ページ4

▼ nqrse side


　

「 …そういや、……って、静かだと思ったら寝てたのかよ… 」


道理でやけにいつもより大人しくて、静かだと思った。

すやすやと俺の腕の中で寝息を立てて気持ち良さそうに眠っているA。寝顔をよくよく見ると、普通に可愛いし綺麗な顔立ちだ。…まぁ、本人の前ではぜってぇ言わねぇけど。



とは言え、ずるく感じる。
……俺が言えない言葉を、彼女に自然に伝えられる奴のことが。

どうせ、こいつのことだし、カッコいいって言われることに馴れすぎて、可愛いとか綺麗と言われることには耐性がついてない。


　

「 ……なんだよ、それ。
ぜってぇ照れて赤くなんじゃん… 」


一応、これでもこのあほの彼氏だ。Aがどんなリアクションをとるかなんて、予想がつく。

多分、耳まで真っ赤にさせて慌てた様子で照れるんだろうな。…別に、見てみたくない訳じゃない。でも、それ以上に気になるのは、他の男にAのそういう所を見せていないかってこと。


　
「 ……その男がお前のこと好きになったらどうすんだよ…あほ……。 」

　
なんて、寝ている彼女に小さな声で話しかけても当然返答はなく、ただの独り言に変わる。


俺、余裕なさすぎだろ。
と心の中で自分にツッコミを入れて苦笑する。……そして、彼女の頬を起こさないようにそっと優しく撫でる。

　

　
「 …お前が寝てるときくらい、俺だって少しは素直になるんだからな 」


自分に言い聞かせたのか、眠っている彼女に対して言ったのかは自分でもよくわかんねぇ。……でも、1つだけわかったことがある。


　


　

　
「 ……たまには素直になるのも悪くはねぇだろ、……ばーか。 」

　
その瞬間、夕日に照らされて俺の唇とAの唇がそっと重なった＿＿。

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