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(貴方side)
「…勇次郎?」
「何」
「いや、さ、何じゃなくて…」
明らかに機嫌が悪い勇次郎。
『こっち見ろよ』なんて言われたからびっくりして振り向いたら振り向いたで勇次郎は私から視線をそらしてパフェのスプーンで遊んでいる。
なんで機嫌悪いんですか…?私何かダメなこと言ったっけ……
………やばいやばい、ぜんっぜん分かんないんだけど
「…Aってさ、彼氏とかいるの?」
「え?彼氏?話変わりすぎじゃない?」
パフェのスプーンをいじりながら横目でジロッと見てきた勇次郎相手に、茶化したり誤魔化したりする選択肢なんか浮かばなくて。
なんでわざわざそんな話題を選んだのかは全く分からないけれど。
「いないけど。なんなら今まで出来たことない」
あ、やべ
なんで『今まで出来たことない』とか正直に言ったの私
煽りキレキレ次郎の異名を持つ勇次郎のことだからいじってきたりしかねないのに
そう、思ったけれど
「ふーん。そ」
返ってきた返事は随分簡素なもの。
少なくとも、私をいじり倒してきそうな雰囲気は感じない。
ホッと少し胸を撫で下ろしてドリンクバーでついできたアイスココアを一口飲んだ直後だった。
「じゃあAは“恋”ってやつ知らないんだ?」
顔を見ずとも笑っていると分かる口調で勇次郎が私に話しかけてきたのは。
くっそ、私何呑気に安心しきってたんだよ…!
やっぱいじられて笑われるのがオチですかいなぁああ
もーいいや、開き直っちゃえ
「そうですよ初恋すらまだな人間ですけど何か!」
「ふーん?」
あれ?いじるのとはなんか違うような…
なんだかよく分からなくて勇次郎の方を向いてみればその手にはもうスプーンは握られておらず、頬杖をつきながら私を見ている紺瑠璃色の瞳と視線が合った。
その顔は笑ってはいるものの、煽ったりいじったりするようなイタズラな笑顔でも黒い笑顔でもない。
どちらかと言えば、嬉しさからくるような笑顔。
「な、なに?」
「別に何も?」
「顔が完全に笑ってるじゃん」
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若葉 - あぁぁぁぁ!!待ってましたぁぁ!私の好みにドストライクです! (2022年11月19日 16時) (レス) @page28 id: 7981b3d9d1 (このIDを非表示/違反報告)
朔藍(プロフ) - ひよっこさん» 大丈夫ですよー!ご心配ありがとうございます。 (2022年8月3日 19時) (レス) id: 7586c4e066 (このIDを非表示/違反報告)
ひよっこ - 掛け持ちして体、特に頭は大丈夫ですか‥?パンクしていませんか (2022年8月3日 17時) (レス) id: 91bebd90a7 (このIDを非表示/違反報告)
朔藍(プロフ) - ひよっこさん» 私はどっちも好き…ですね……曲を聴きながら書くことが好きなんですけど、好きな曲が一筋縄ではいかなかったり切なかったりするストーリーの恋愛曲が多くて。そういうのを聴いてると自然と物語もそっち寄りに…って感じです… (2022年8月1日 17時) (レス) id: 7586c4e066 (このIDを非表示/違反報告)
ひよっこ - 朔藍さんは甘々とシリアス どっちがお好きですか、私は甘々と溺愛系が好きです。 (2022年8月1日 15時) (レス) id: 91bebd90a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朔藍 | 作成日時:2022年7月30日 20時