幼馴染 【染谷勇次郎】

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(勇次郎side)





僕より一つ年上なのに、高校生なのに

一つ年下の中学生である僕より小柄な身体。



ふわっと香る、僕好みの匂い。





……え………Aってこんないい匂……違う違う違う



『いい匂い』？



なんだそれ、なんでそんなことを僕がAに思ったんだよ





何とか他のところに意識を向けようと、他の感覚に意識を向ける。



そう思っていれば目に入ったのは、愛蔵がこれでもかと言うほどAと顔を近づけてAの肩を掴んでいる姿。





………距離近すぎじゃない？何やってんの？





ただ、中高生男女の距離感じゃなかったから。



Aと愛蔵の距離を少しでも離そうとAの髪を引っ張った理由なんて、そんなもんだ。



でないと、こんな行動をとった説明がつかない。





自分に自分で言い聞かせていれば、身体にかかっていた重みがなくなった。



まっすぐ向いていれば少ししか視界に入らないほど近い距離にいたAが振り返り、視線を合わせてくる。







「何か用ー？今友達と勉強中なんだけど」



「今からちょっと一緒に来てよ」



「私の話聞いてた？？友達と勉強中なんだってば」



「えー、じゃあいつならいいの」



「……そろそろ本格的に課題追い込まなきゃヤバいから夏休み中はムリかも」







一気に神妙な顔になって顔が若干青ざめるA。





課題追い込むって……昨日家に行ったとき全然危機感持ってなかったじゃんか



ほんとは今から引っ張って行きたいとこなんだけどなー…



まぁ僕に有利なのは変わらないしいっか



夏休み中がムリなら…学校始まって休みはあっても僕ら練習したりするし……レッスンとか自主練が終わってからになるから……







「9月の予定、特になし？」



「多分ね。予定なかったら私ここで店番してるよ」



「じゃあそのときはちゃんと付き合ってよ？」



「…いいけど何すんの？ていうかどっか行くの？」



「それ教えたらつまんないでしょ。内緒だってば」







不思議そうな顔で、でもAは『分かった』と頷いた。






　

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