幼馴染 【染谷勇次郎】

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(勇次郎side)





一つ年上の幼馴染



一緒にいて気が楽な友人



素の自分を見せられる相手





こんなところ、だろうか。



少なくとも僕からAに対して持っている気持ちはこんな感じだと思う。



もしかすればAにとって僕は、手のかかる迷惑なやつだとか思われているかもしれないけれど。



まぁ仮にそう思われていても変わらず僕と接してくれるのだから僕的にはこれといって問題ない。







「恋愛対象としては見てねえのかよ？」



「…………は？」







『恋愛対象』？



それって…好きとか付き合いたいとか…そういう系？





…………いや……ていうか…







「まだデビューしてなくて未熟すぎる僕らに恋愛とかしてる余裕ないでしょ」



「まぁ……そうだな」



「少なくともデビューまで僕は誰とも付き合ったりしないから。デビュー出来たら出来たでやること山積みだと思うし練習とかに時間使いたい」







これが本心であることに、間違いない。





愛蔵とフリをどうにかして合わせたりと目の前のことに必死な今。



デビューをすること自体は決まっているものの未熟もいいところで、愛蔵とのコンビネーションとかは未だ特に最悪。



隙あらば互いに嫌味を言い合ったり文句を言ったりしているのだから当然なのかもしれないけれど。





でも



夢に全力で挑んでいるということは同じで。



夢に同じ方向を向いて共に全力で挑むやつだということに、変わりはない。





だから尚更



恋愛をする時間があるのなら、夢を叶えるために時間を使いたい。







そう、思っているはずだから。



これが、本心であることに嘘はないから。





何故かパッとせずスッキリしない気持ちは心の隅に隠しておくことにして、その気持ちを流すようにスポーツドリンクを一気に喉へ流し込んだ。




　

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