突然出会った王子様 5 【染谷勇次郎】

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(貴方side)







「「「キャーー！！」」」







突然グラウンドに響いた女の子達の大声。



その声の方を向くと、グラウンドがよく見える正面で、距離が近い一角にその女の子達が集まっていた。



すると、近くにいる男の子達のヒソヒソとした会話が聞こえてきた。







「チッ、今年もかよ」



「あー、LIP×LIPだっけ？」



「アイドルだか何だか知らねーけどさ、どうせ女子にキャーキャー言われて調子乗ってんだろ」



「そうそう、顔がいいからってな。何でも許されるとか思ってんじゃね？」







…………は？



何言ってるの？この人たち



勇次郎のことも柴崎君のことも何も知らないくせに



毎日のようにクタクタになるまで頑張って帰ってくること知らないでしょ



やりたいこととか自分で決めたことをやり抜くって、すごいことなんだよ



すごく大変で、楽しいこととか嬉しいことばっかりじゃないけど、でも毎日毎日努力してるんだよ



顔がいいだけとか、女の子にキャーキャー言われて調子乗ってるとかそんなんじゃないんだよ



性格はまぁちょっと…ちょっとね？難アリかもだけど







「っ、Aちゃん！？か、顔が！！」



「………え？」



「か、顔！眉間にめっちゃシワ寄っとる！かわいいのに台無しになっとる！いや、怒っとってもかわいいけど！！」



「……私はかわいくない。あと、怒ってない」



「声のトーンがもう怒っとるよ！？どしたん！？」



「……ひよりん、近くの男の子達の会話、聞こえた？」



「えっ、聞こえとらん、けど………」



「そっか、ならよかった。何でもないよ」







私以上に長い間２人と一緒にいるひよりんがあの会話を聞けば、嫌な思いをするに決まってる。



4ヶ月ぐらいの付き合いの私ですらこんな気持ちになるんだから。



ひよりんが2人のことを大事に思ってることも知っている。





……ひよりんに聞こえてなくてよかった




　

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