早く堕ちろよ【糸師凛】

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いくつも乱暴に積まれているその段ボールを開けてみれば今までは綺麗に輝きを放っていたはずのトロフィーや盾が傷ついたりところどころ折れたりしている悲惨な状態で見つかった。





そこで、改めて知った。



凛は本気で冴くんを潰すつもりなのだと。





今までとは随分変わってしまったものを箱から出し、気持ち程度だけど磨いて見た目だけでも綺麗に並べて箱へ戻していく。勝手だとは思うけど許してほしい。



洗面所を借りて手を洗い戻っても凛は変わらず寝ていた。これは朝までコースかな。





思わず手が伸びる。凛のサラサラな髪へと。



ろくにケアとかしてないくせしてなんでこんなに綺麗でサラサラなんだろ。羨ましいわ。……寝顔はこんな幼いのになぁ。



ポンと一度頭を撫で、ベッドと棚の間に腰を下ろす。朝起きたら体が痛くなっているかもしれないけれど仕方ない。おばさんに布団出すよ〜って言われたのをいきなりだったから悪いと断ったのは私だ。



明日は土曜だから大丈夫だけど学校やばいなどうしようかと思っていると友達から先生には誤魔化しといた！我ながら完璧に！！とドヤっと効果音のついたスタンプが送られてきていて、思わず笑みがこぼれた。ほんと友達には恵まれている。今度遊びに行くときか売店か自販機かで何か奢ろ。







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起きて1番に感じたのは体中の痛み。やっぱりかぁぁあーー……まあ自業自得だよなぁ…



よいっしょなんて現役高校生には相応しくないような掛け声を出しながら立ち上がりグーっと伸びをしてから洗面所を借りて顔を洗わせてもらう。あいにく急遽の泊まりだったからいろいろ朝のグッズは持ってきていない。



かろうじて持っていた櫛で髪をとくくらいしかできないけど、今日は仕方ない。見苦しさはないから良しということで。今日くらいは女子力とおさらばしよう。うん。



のそのそとこれまた現役女子高生の朝らしからぬ動きで凛の部屋に戻ると一気に目が覚めた。



凛が立ち上がり明らかに練習に行くための準備をしていたから。







「………凛」



「…なんでいんだよ」



「今日は練習行かせないよ。せめて病院行ってからだよ」







ピキッと凛のこめかみに筋が浮かんだのが見えた。凛の瞳は、今まで向けられたことがないほど鋭い。





　

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