突然出会った王子様 7 【染谷勇次郎】

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(勇次郎side)







「……勇次郎といたら、安心するの」



「ふはっ、そっか。僕もだよ」







机にぶつけたことで少し赤くなっている額よりも紅く染まる顔。





あれ、さっきまでの汚い感情どこいったの、僕



Aの言葉一つでどれだけ一喜一憂してんの



Aは僕にこういうことされるの、嫌じゃないんだ





彼女の口から直接聴けた、僕が望んでいた言葉に頬が緩む。







「一番？」



「なに、が？」



「Aが一緒にいて安心するの、誰が一番？」



「……勇次郎」







今の僕の顔、愛蔵とかに見られたらドン引きされそうな顔なんだろうな



やばい、にやけが止まらない



好きな人にこんなこと言われて、にやけない人なんていないでしょ





僕の自己満でしかないけれど、迷う素振りすらなく恥ずかしそうに言った彼女に更なる愛しさが募ってゆく。







「そっかそっか」



「あ、ば、バカにした！？今！」



「してないしてない」







嬉しすぎてこんな感じになっちゃうんだよ





不満気に少し唇を尖らせた彼女は向かい合うようになっていた顔をプイッと背ける。







「僕もだよ」



「……なに、が」



「Aと一緒にいるのが一番安心する。Aとこうゆう感じで過ごすの、好きだよ」







ピクッと彼女の身体が少し反応を示した。







「ねーAー、こっち向いてよ」



「やだ、向かない。ぜったい」



「なんでそんな単語ばっかなの」







思わず吹き出してしまった。







「あははっ、ははははっ」



「ほらっ、また笑った！」



「あ、こっち向いた」







テーブルから顔を上げ、彼女は咄嗟にか、僕の方を向く。



固定するように両手で彼女の両頬を包み込む。



その顔は正にリンゴのような紅さ。





あぁ、もう、可愛いな



僕しか見えないように、僕のことしか考えられないように閉じ込めちゃいたいくらい



そんなことしないけどさ



こんな時間がずっと続いてくれればいいのに





　

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