あの生意気系後輩が帰ってきました。

camp. ページ43

トレーニング終わりの昼下がり。沖縄１次キャンプももうそろそろ終わってしまう。


選手全員に飲み物を渡して走り回っていると、紳くんに捕まった。

車屋「はい、捕獲」

「毎回捕獲やん、なに？」

はい、これ。と水筒を渡しながら今日の用件を聞く。この人は毎週のように私を捕獲してくる。なんなん？

車屋「まぁまぁまぁ？」

ずずー、と服を引っ張られて僚太くんと鷹虎のところへ連れていかれる。

永長「あ、ええとこにAちゃん！」

僚太くんにおー、と手を振られたのでハイタッチ。あ、さっき僚太くんへのプレゼント
バッグに入れてたんやった。これは誕生日ね、と渡す。

大島「えー、毎年ありがと。俺も今年のAの誕生日ちゃんと買ってくる」

ええのに。この人ちゃんと買うって言ってまともに買ってくれたことないからええんやけど。

永長「僚太くんクラスになると誕生日プレゼント貰えるんすね」

俺も貰いたかった…って泣き真似し始めた鷹虎。可愛すぎかて。19歳半端ないって。

「大丈夫、鷹虎はちゃんと今年買うって！」

永長「やったー！」

やった！やった！ってワイワイしてる鷹虎。

ちら、と見るとえぇ？と不服そうな顔の紳くん。

車屋「ねえ、俺去年貰ってないけど？」

図々しい！けどぶーぶー言いながらえぇ、ってちょっと悲しそう。よしよし、と頭を撫でてあげるとそれは無理！って避けられた。悲しかった。

ふと背後を振り返ると後輩のスタッフさん。

『4人の雰囲気が素敵で…これSNSにアップしても大丈夫ですか？』

「全然大丈夫！」

拗ねる車屋って入れといて、とスタッフさんに伝えると紳くんはもっと拗ねてきた。頭叩いてきた。これが組織内暴力？

永長「あ、そう、Aちゃんは絡みやすい先輩の選手って誰ですか？」

それが聞きたかったんす！と3人で誰々〜？って聞いてくる。もう恋バナしてる女子やねんな。

「ん〜…この中だったらダントツ僚太くん、普通に言ったら誰やろ、悠くんもノボリさんも絡みやすいよ」

大島「ね〜、俺が怒られるから…ホント」

鷹虎はほら！ほら！と騒いでる。紳くんはすんごい顔でこっちを見てくる。ゴメン。

「まぁ紳くんもすごいええ先輩やねんけど、なんか足りひんねんな」

大島「うん、なんか足りない」

結局その日はずっとねえ……って言いながら肩叩かれてた。カワイイ。

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