雲 【後編】 ページ3
『雲羽、これ何?知らなければいいけど、驚いてないし…ブツブツブツブツ』
無意識に中二病っぽいこと思ってたけど
この羽っぽいの、本当に何だろう?
「これは…簡単に言うと……“才能の発覚”かな、?」
『才能って、えっ、なんか運動神経が良い〜みたいなもんじゃないの?その概念すら超える才能ってのがあるの?雲羽は何を知ってるの?』
本当に疑問しかないよ。
っていうか、ばあちゃんは何か知らないのかな?
あっ、そうだ、ばあちゃんは今頃何してるんだろう…
外暗いし…あれどんだけ眠ってたんだ僕!
「ある。っ呼び捨て…その才能は誰かが、何かのきっかけで“開花させてくれるもの”なはずなんだけど…そ、空、あんた、“自分で開花させた”のよね?」
『えっ、開花って何?僕、本当に何もやってないよ!ただただ、普通のニート引きこもり生活してたがけっだたもん!』
少し考えているように見えた。そして考えを纏め、顔をあげた。
長く切りそろえた黄枯茶色の髪から綺麗な黒橡色な瞳を出して、口を開いた。
「…多分、何か私の知らないことがそ、そ、そ、空に起きてるんだと思うっ」
僕を呼び捨てにしている。
恥ずかしがっているけど、なんて言えばいいんだろ?
引きこもり中、恋愛シュミレーションゲームなんて殆どやってなかったし、
『あぁ、うん、えっとぉ…この翼って、も、もしかしたら、空飛べる…?』
あぁ!興奮しすぎちゃって、変な本音…じゃなくって、まじめな本音が出ちゃった。
でも、でも、本当に
飛びたい!
「ん?飛べる、よ?ああ!待って、鍛えたら!鍛えたら!だよ!今、その状態で飛ぶと落ちる!落ちるからねぇ!飛び降りようとしないでっ!」
鍛える?そんなめんどくさいことしなきゃいけないの?
でも、それで、空を飛べるなら
飛びたい!
『僕、これ、自分の才能、鍛えたい!そして、空を自分の羽で飛びたい!』
「…すごく、飛びたいのね。いいよ、私が連れて行ってあげる。向こう側に、」
少しだけ微笑みながら、雲羽は続けた。
「でも、これから見ることは絶対に秘密よ、裏側だもの、この世界の!」
風が吹いた。白い霧のような風が。
ふぁさ―
と雲羽の髪がなびく。その髪は綺麗な黄枯茶色から、白っぽい銀色に変わった。
綺麗な日本人の黒橡色の瞳からどこまでも青い空のような水縹色に吸い込まれていった。
「私も才能持ってるの。」
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作者名:白井ユエ | 作成日時:2021年5月24日 18時