底辺妖怪の少女は

37話　エンマside ページ40

『スゥ…スゥ…』



オレの肩に頭を乗せたまま眠るA。



ふわふわした綺麗な髪を、軽く撫でる。



エンマ「…嘘、ついちまった。」



…玲於を見たときのAの表情。



普段は無表情なのに、一瞬だけ表情が変わった。



すごく、悲しそうな顔をしたんだ。



だからすぐに分かった。



Aは玲於と何かあったんだ。



…それと同時に、もっと色んな表情が見たい…とも、思った。



エンマ「…。」



Aの鼻を軽くつまむ。



…と、苦しそうに少し唸る。



エンマ「かわい…。」



…最初はこの桜を咲かせて欲しかったから。



無理なら仕方ないとも思っていた。



…でも、咲いた。



そしてこの桜から…“アイツ”に似た妖力を感じたんだ。



だからオレはAに近付いた。



…そうしたらAは、結構辛いものを背負っていて。



『…んん…』



…その背負っているものを、少しでも軽くしてやりたいって思った。



一緒に背負ってやりたいって…側にいたいって、思った。



…“アイツ”の面影を、感じていただけのはずなのに。



エンマ「すげーな。」



気付いたらA自身を大切だと思うようになってたんだよなぁ。



…可愛くて、優しくて。



人のためならどんな無茶でもする。



苦しくても、悲しくても。



人に言わず一人で抱え込む。



…そんなAを、近くで支えてやりたい…って、思ったんだ。



エンマ「不思議だ。」



ここまで側にいたいって思ったのは、“アイツ”ぶりで。



…だからこそオレは…Aに嘘を吐いてしまった。



エンマ「…もう、友達なんて思えない。」



オレはAに、恋をしたんだ。



…もうしないと思っていたのに。



…これはオレの…



エンマ「…好き…」



“二度目”の、恋。

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