天然タラシ【牛島若利】 ページ9
.
牛島若利という男と付き合ってからの私は苦労が絶えない。
何故かと言えば、彼はまずめちゃくちゃ鈍感である。
好きの言葉が欲しくて甘えてみても、キスして欲しくて目をじっと見つめてみても、全く気付いてくれない。
終いには「体調でも悪いのか。」なんて聞かれてしまう始末だ。
恋人らしいことをしたくてなんとか毎日頑張っているけれど、ふいに若利は私の心を揺さぶってくる。
歩道を歩く時車道側を歩いてくれていたり、コケそうになる私に咄嗟に腕を伸ばしたり、帰り道は暗くなくても反対方向にある私の家まで送ってくれたり、だとか。
きっと若利は無意識にやっているようだけど、そういうのを世間じゃ天然タラシなどと呼ぶらしい。
「若利ってさ。」
「なんだ。」
「...ううん、なんでもない。」
それでもきっと、彼は彼なりに頑張ってくれてるのだろうか。きっと今は受験に向けて学業も大変だろうし引退したとはいえ部活にも時々顔を出しているらしいし。
忙しいのに私ばっかり我儘を言っちゃダメだよね。
でもね。
本当はデートだってしてみたいの。手も繋ぎたい。キスだってしたい。
好きって言葉にして伝えて欲しいの。
こんなの、欲張りだって分かってるけど。
「俺は、頼りないのか。」
「えっ?」
俯いていた顔を上げれば、そこには不安気な表情を浮かべる若利がじっと此方を見つめていた。
そんなことを言われたのは初めてで少し驚く。
「俺はAに色々なことを我慢させているような気がする。俺はもしかして頼りないのか。」
「そ、そんなことないよ!!!」
そうだよ、そんな訳ない。
だって若利は誰よりもかっこよくて誰よりも強くて。
なのにどうして私はあんなことを言わせてしまってるんだろう。
.
41人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しーな(プロフ) - ありがとうございました!あまり見ない雰囲気のお話だったので面白かったです!本当にありがとうございました! (2018年9月24日 10時) (レス) id: 903e3e5c65 (このIDを非表示/違反報告)
さささ(プロフ) - 夜色*ヨシキ*さん» はじめましてー!!本当ですか、嬉しいです!!!!!夜久さんでピュア甘ですね!!!精一杯書かせていただきます!!!リクエストありがとうございます!!! (2018年9月24日 8時) (レス) id: 44bca1b265 (このIDを非表示/違反報告)
夜色*ヨシキ*(プロフ) - 初めまして!いつも楽しく読ませていただいております!リクエストなのですが夜久さんでピュアな感じの甘々なの書いていただけたらなと思います…!お時間ありましたらよろしくお願い致します。 (2018年9月24日 1時) (レス) id: 6aa581ab3f (このIDを非表示/違反報告)
しーな(プロフ) - ささささん» ありがとうございます!! (2018年9月22日 20時) (レス) id: 903e3e5c65 (このIDを非表示/違反報告)
さささ(プロフ) - 花江さん» 影山くんあんまり得意じゃなくて...ちょっと変になってしまいました;;いつかまたリベンジさせていただきますね!!!リクエストありがとうございました!!! (2018年9月22日 20時) (レス) id: 44bca1b265 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ