愛島セシル ページ7
「Aさん。Aさんっ!これはなんていうのですか?」
私の部屋にあるピンクのイルカのぬいぐるみを、キラキラした目で見つめながら、かの有名アイドル『愛島セシル』は、ごく普通の会社で働いている、平凡ОL鈴木Aに質問してきた。
「それは、イルカです。」
すっと私は、答える。
「えっ、いるかってピンクなのですかっ?」
今度は、不思議だみたいな顔をするアイドルこと、『愛島セシル』。
「イルカは、青色だと思ってました…」
しょぼーんと、肩をおとすアイドルこと『愛島セシル』。あっ、ちょっと可愛いなんて思ってしまった。
そして私は、少し後悔した。
1時間前に起きた出来事を。
この目の前にいるひと、アイドルこと『愛島セシル』は、私の家の前で一人たたずんでいた。
そして、外は雨。びっしょびっしょの姿で、彼は一人たたずんでいた。
テレビでもよく見る顔だったし、なんかやばそうな人じゃないと思って、「どうしました?」と、
聞いてみたら、急に抱きしめられて、「寒い…です…。」なんて耳元で言い出してきた。
突然だったので少しびっくりしたが、彼の体はあり得ないほどに冷え切っていて、少し抵抗感はあったが部屋の中に入れて…うん…今に至る
「愛島さん。イルカは青色であってますよ。」
なんかそのままだとかわいそうに思えたので、すぐさま訂正した。
「ですが、このイルカはピンクです。ミューズ。」
なんかミューズとか言い始めた、アイドルこと『愛島セシル』に、私は半ば向きになって、
「そういうぬいぐるみなんですっ!」
と、言い返した。そして、一つの疑問を投げかける。
「あの、すみません。ミューズって何ですか?」
すると急にアイドルこと『愛島セシル』は、ピシッとして
「私の故郷アグナパレスは、音楽の女神ミューズに守られています。そのミューズこそA。あなたです。」
それを聞かされた私は、間抜けな声で「えっ?」とだけ口から飛び出た。
「私とあなたは、前に一度会っています。私は、あなたの傍にいたい。ミューズ。ダメですか?」
口調も、声のトーンも、まるっきり変わらない。けど、言っていることがとても甘ったるくて、私の体中の熱が、顔一転に集中した気がした。
「えっ・・・あなたと私は、前に合っているんですか?」
ここから、彼と私のものがたりが、スタートした。
ラッキー那月&砂月の今日のひとこと
なに、襲われたいの?
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azucena - 影水さんのこの作品、私の好みです♪更新、待ってます!頑張って下さい♪ (2016年8月13日 18時) (レス) id: 0c401dd01b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:影水 | 作成日時:2014年9月13日 22時