winter137 死の誘い ページ40
★オビside
『おはよう』
朝、彼女の部屋に行くと、珍しく目を覚ましていた。
いつもなら、俺が来てから数時間後に起きるのに…
……なんとなく、胸騒ぎがした。
そしてそれは確信に変わる。
『オビ………』
ドクン……ドクン…ッ
A嬢は、それ以上何も言わずに微笑んだ。
悲しそうに微笑んだ。
それがすべてを物語っていた。
オビ「…うん、わかった」
彼女は、明け方の月のように、儚く消えゆこうとしていた。
・
・
好きな人や大切な人は、漠然と明日も明後日も生きてる気がする。
それはただの願望でしかなくて、
絶対だよ、と約束されたものではないのに
人はどうしてかそう、思い込んでしまうんだ。
・
・
『わあ…外ってこんなに気持ち良かったっけ』
A嬢をお姫様抱っこしながら、庭園を歩き回る。
雪が溶け始め、風が春の匂いを運んできている。
まさか一緒に冬を越せるなんて！
私って案外図太いのね、
いつだったか君は笑ってそう言った。
この先何十年も、一緒に季節の移ろいを楽しむことができれば……いいのに。
庭が一望できる大きな樹の下に辿り着くと、
ゆっくりと彼女を下ろした。
木にもたれかかって、手を繋ぎながら座る。
空はどんより暗い。
＿＿＿＿＿＿＿＿きっと、もうすぐ雨が降る
『……フフ…ねえ、オビ。世界は綺麗ね』
オビ「フっ…なんだい急に」
『鳥が泳ぐ空。魚が舞う海。花が根付く陸。
そんな地球に住まう人間』
『私たち人間は確かに愚かよ。傷つけ、奪い、蔑み、殺し、自分がこの世界の主人公だって勘違いして』
『だけど、愛に溢れてる』
『私たちはきっと、一人じゃ生きていけない。
孤独は何よりも辛いこと。他人との絆は何よりも大切なこと』
『だからね、２０年という短い月日の中で、巡り巡ってあなたに出会えたことは本当に幸せなことで、まさに奇跡なの』
『何回言ったかわからないけれど、
オビ……私と出会ってくれてありがとう』
彼女が紡ぐ言葉ひとつひとつが胸を鳴らした。
＿＿＿＿＿＿なんて綺麗なんだろう
オビ「俺もありがとう。
これがきっと運命ってやつなんだよ」
『フフ…絶対そうだよ』
・
winter138 誓いの言葉→←winter136 勿忘草
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ルルコ - 大・号・泣！！ ほんとにタイトル通り涙の雨です！それも大雨！最後の宝探し(手紙とお花)なんて神ですね！別の意味でさらに感動しました (2021年12月15日 1時) (
レス) @page50 id: 71a021f1b6 (このIDを非表示/違反報告)
purupru(プロフ) - はまってしまい、一気に読みました。涙雨3に入ってからは涙がでて止まりませんでした。更新再開を楽しみにしてます^ ^ (2018年11月6日 20時) (レス) id: bc972e56cf (このIDを非表示/違反報告)
れ - 一気に読んでしまいました。涙がとまりません。また、物語がスタートするの待ってます。 (2018年10月13日 17時) (レス) id: 3522cc0a39 (このIDを非表示/違反報告)
かりそめの蘇生(プロフ) - 更新再開してくれて嬉しいです！完結まで楽しみにしてます！ (2018年6月3日 7時) (レス) id: 4709ebaabe (このIDを非表示/違反報告)
マリモ - クラリネスで涙花病の薬つくってほしい (2018年5月15日 14時) (レス) id: 1e69e1c4b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミミネコ | 作成日時：2016年12月9日 20時
