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路地裏を出て彼女の目的地を目指す。


「そーいえば、幽霊さん名前はあるんですか?」


 彼女が唐突に私に話しかけて来た。周りに人がいないことを確認し「あるよ」と私は返した。


「なんて名前ですか?あっ、私は酒井 Aって言います」


「酒井くんか私の名前は吉良吉影だ」


 自己紹介しといてなんだが目的地は近い、すぐに別れることになるだろう。まぁ面倒だから言いはしないが。


「吉良さんって言うんですね。あ、チョコレート食べますか?どうぞ」


 生憎私は物を食べたりすることはないのだが、いざ差し出されてしまうとなぜか断りづらく受け取ってしまった。

 いつか食べようとポケットにしまう。

 目的地が見えてきた。


「酒井くん。あそこがカフェ・ドゥ・マゴだがあってるかな?」


「……んー、はい!あってます!ありがとうございました吉良さん」


「どういたしまして。じゃあ私は行『あ!待ってください!』……なにかな」


「お礼!お礼します!結構遠かったし吉良さんの目的地とも逆っぽいし……」


「別に気にしなくてもいいよ、気持ちだけで充分さ」


「そ、そんなわけにも行かないですよ!あ、ちょっとこっち来てもらってもいいですか」


 ちょいちょいと手招きされカフェの裏口側にまわる。するとカバンから小瓶のようなものと小さな布袋を取り出す。小瓶にはラベルが貼ってあり“ラム”と書かれている。


「お酒……?」


「はい、私これでもカクテルを作るのが得意でして……お酒飲めますか?」


「多分ね今まで飲んだことがないから、まぁ大丈夫だと思うよ」


「……じゃあアルコール少なめにしましょう」


『まずはライムとブラウンシュガーをすりつぶしてそこにミントを加える、次にラム酒と炭酸水を加えて蓋をすれば……完成!』


 彼女の手には薄緑色で四角い柄があしらわれた小瓶がある。蓋は瓶に合わせて濃緑色の猫の形をしている。中に氷のかけらが入っているのか、ひんやりと冷たい。


「モヒートってカクテルですよ。いらなかったら捨ててもらっても、ミントのお酒でスッキリとした後味がするんですよ」


 確かにあたりにはミントとライムの爽やかな香りが広がっていた。

 すると突然ピリリっと電子音が鳴り、彼女が急いで携帯を見る。


「やばっ10分過ぎてる!!あ、吉良さんさよなら!今日はありがとうございました」


 そう言って走って行く彼女を私は見送った。

・→←死体Qとモヒート



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人力車(プロフ) - 狂犬さん» コメントありがとうございます!そう言っていただければ嬉しい限りです! (2019年11月12日 12時) (レス) id: c2c8156d2a (このIDを非表示/違反報告)
狂犬(プロフ) - 面白いスタンドですね!とても勉強になります!(オリジナルスタンドを作る為の) (2019年11月9日 20時) (レス) id: 5579949a16 (このIDを非表示/違反報告)
手押車(プロフ) - とても面白いです!これからも更新待ってます! (2019年10月29日 7時) (レス) id: 9f1d144e77 (このIDを非表示/違反報告)
人力車(プロフ) - コメントありがとうございます!期待に添えるように頑張ります! (2019年9月23日 13時) (レス) id: 60356de8e5 (このIDを非表示/違反報告)
くとぅるふふっざけんな!(プロフ) - 最初の話読んでみて凄く面白かったのでお気に入り登録して続きを期待して待ってます(о´∀`о) (2019年9月23日 6時) (レス) id: b6db3cbd6d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:人力車 | 作成日時:2019年9月22日 2時

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