絶望プリズン短編集 (ページ3)

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シロウ 1ー1 ページ3

「あの、良かったらこれ、一緒に読みませんか？」

そういいシロウが出してきたのは都市伝説の本。
この本好きなんですよー、と嬉しそうに言うシロウはほんとに目を引かれるほどの笑顔だった。

「うん、読む」

と言うとパアッとますます笑顔になって眩しかった。
この都市伝説は……と説明しながら読んでいくシロウはほんとに生き生きとしてて…。
好きだなーって思ったけど、別に付き合ってる訳では無い。
言うなれば私の片思い。

「それでですね…あ…」

シロウが急に固まる。
何かあったのかと顔をあげると

「…！？」

思った以上に近くなってて。
私の胸も騒ぎ出す。
シロウから視線を外せない。
自分の顔が赤くなってるのはわかる。
でも…吸い込まれるようにじ、と見つめていた。

「っ～///」

シロウが顔を逸らす。
すると本が落ちる。
ドサッと音がなると同時に指先にピリッとした痛み。
何？と思い見てみると指先を切っていた。
本が落ちる時に切ったのだろうか、じんわりと血が滲み出る。
シロウがハッとすると同時に慌てだした。

「指！怪我してるじゃないですか！」

「あー…うん、大丈夫だよ。」

ヘラリ、と安心させるように笑いかけるも慌てたシロウには無理してるように映ったのだろうか。
不安そうに顔を歪める。
そんな顔、しないで。大丈夫だよ。
って言いたかったけど、シロウが取った行動によりその言葉は出なかった。
何を考えたのか、私の手を取るとパク、と咥えた。

「…っ!!?」