12.疑う ページ13
謎の笑みを浮かべながらササッとこちらまで歩み寄ると、彼の突然の登場に動くことも忘れた彼らを視界に入れることなく私の手を取り引っ張っていく。
なんだろう、このいたたまれない空気。
私が悪いわけじゃないと思うのね。
だって勝手にあんなことやらこんなことをしだしたかと思えば喧嘩をおっ始めて、言えば私は巻き込まれたに過ぎないと思うのよ。
煉獄さんだって君たちのこの状況を知って来たわけじゃないと思うし、こうやって無視してるのもわざとじゃないんだよ。きっと。だってこの人いつも変でしょ?ちょっとズレてるじゃない?なんて言うか、本当にわざとじゃ、ないと思うんだ。…うん。
ね。だからそんな怖い顔して煉獄さんを睨むのやめてあげて。
そんでもって義勇は捨てられた子犬かのようにこっちをずっと見つめないで。
と、なんだかんだありつつも煉獄さんという強力な助っ人のおかげで脱出できたのであるが、ここでひとつ疑問が浮かび上がってきた。
『…思ったのですが、煉獄さん。
今日って、稽古のお約束してましたっけ…?』
「ん?
今日はしていないな!!偽りを申しただけだが、何かいけなかったか?」
『…………あ、いえ、そうですよね。なんでもございません。』
わざとだった!!ばりばりわざとだったよこの人!!あえてだね!!あえて彼らを視界に入れることなく、無視して!!さも何も無かったかのように私を連れ出したんだわ!!
なんて人なのこの人!!末恐ろしいっ!
え、まって、だとすると?
どうしてこの人は何も無いのにわざわざ私を探し出し?嘘をついてまで連れ出したのかしら。
そもそも一体、なぜあの場所にいるとわかったのだろうか…?
謎が深まるばかりであったが、先程から、というか今日あった時からどこかよそよそしいような雰囲気といつまでたっても合わせてくれない瞳。
それが不思議でならない。
と、そこまで思って脳思考が停止した。
今日は会う人会う人に甘い香りがするだなんだと破廉恥なことをされてきていたが、彼にそれがないとは言いきれないのでは?これだけ大人しい煉獄さんが逆に怖くなってきたわ。
なんて思うと歩いていた私はぴたりと止まる。それに気づいた煉獄さんも手を繋いでいるからか止まることしか出来ずでこちらを振り返る。
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かかす(プロフ) - 面白いです、作者様神.. (2020年3月2日 14時) (レス) id: cb1c312403 (このIDを非表示/違反報告)
メリ助(プロフ) - コメント失礼します!!この小説を読むのが楽しくて仕方ありません!!もっと更新頑張ってくださいっ!炭治郎が主人公のフェロモンにあてられる様を早く読みたくてそわそわしながら更新通知覗いてます…(〃ω〃) (2020年2月25日 4時) (レス) id: edf0a2913a (このIDを非表示/違反報告)
まりまる - かっ、神絵(白目) (2020年2月22日 3時) (レス) id: 47953253f0 (このIDを非表示/違反報告)
シュラス - え、あの絵のどこか汚いんですか?寧ろ神レベルじゃないですか。マジリスペクトしてますよ?もっと自信を持って下さい!( ´∀`) (2020年2月13日 1時) (レス) id: 7e1b00660a (このIDを非表示/違反報告)
Rinu - ○○しないと出れない部屋がいいです! (2020年2月10日 20時) (レス) id: 2e42f0c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水飴 | 作成日時:2020年1月24日 19時