正真正銘、ゾルディック家の長女ですけど？ (ページ15)

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朝食 (カルトside) ページ15

「おはよう、カルトちゃん」

「おはようございます、お母様」

朝起きて、リビングに行ってみると、やはり姉様はいない。
昔は無理矢理起こされていたそうだけど、最近は仕事も多く疲れているのだろうと両親ともに言っていて朝に姉様がいることは殆ど無い。

「あらあら、またエルちゃん寝てるのねぇ」

「オレが起こしてこようか？母さん」

イル兄様が声を上げたその時、凛と澄んだ声が聞こえてきた。

『その必要は無いよ～…。おはよう…』

気だるそうにダラダラと部屋に入ってきた。寝癖がついてしまって、いつもの綺麗なストレートの髪がはねている。

「あらま、エルちゃん！起きれたのね！おはよう！」

『ん…眠いけど…。カルとお出かけの約束あるから～…』

「まあまあ、デートかしら！？」

『そーそー…いーでしょー…』

全身から眠いオーラを出しながらも席につく。

「カルト、今日訓練あるんじゃねーの？」

キル兄様が不満を隠しもしない声でそういう。

『んふー、カルは午前だけだからね～。午後は久しぶりに遊ぶんだ～』

「ずっりーよ！俺も行きたい！」

僕が嫌だと言おうとした時、キル兄様の目の前に姉様に類似した黒髪が通った。

「キルはオレと訓練だよ」

「いっ、イル兄…」

イル兄様に言われて子猫のように竦む兄様。
よかった気持ちもあり、少し悪かった気持ちもある…。

『お姉ちゃんモッテモテで嬉しいよ～。でも、お姉ちゃん、今日はカルと二人で行きたいから、こまめんね。キルはまた今度ね』

「……お土産買ってきてよ」

『もちろんだよ。キル』

二人で行く、その言葉に少し胸が温かくなった気がした。
姉様は何処まで見抜いているのか…。

『ね？父さん。カルと二人でお出かけしてきていいでしょ？』

姉様の綺麗な瞳がお父様の方にむく。
そうだった…、仕事以外はお父様の許しが出ないと外に出れないんだった…。

お父様は厳しい視線で僕と姉様を見つめる。萎縮しながら姉様の方を見ると、にこにこと物怖じしない表情でお父様を見ている。

「…あぁ。エル、カルトのことも考えて遊びすぎるんじゃないぞ」

『んふー、ありがと、父さん』

「良かったわね。さ、朝食にしましょう！」

緊張した空気はとけ、お母様の一言で食べ始める。

姉様はいつも通りの笑顔を浮かべていた。

(カル、訓練頑張ってね？お姉ちゃん、待ってるから。…あ、毒回ってきてる)

(は、はい！……体調戻しておいてください)

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