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# ページ29

男はゆっくり、ゆっくりと歩きながらあの赤い球を放っている。
赤い球は地に当たると大きな砂埃を立てべこりとへこむ。そこに何かがあったかのように。

「中也。もう休憩したらどうだい?」

男の腕を掴んでいるのは、太宰さん。
男の瞳に、色が戻ってきた。
ポトリと頭から流れている血が地に落ち弾け飛ぶ。

「っはぁっ…」

男はがくりと力なく、膝をついた。
男の支えるように抱き上げたのは、赤い髪の男。

「お疲れ様です、中原幹部」

赤髪の男は男に言った。

「中也君、お疲れ様」

幼女を連れている男。
はぁはぁ、と中也と呼ばれた男は荒い息を繰り返している。
一方、A先生は太宰さんの腕の中でぐったりと横になっていた。

「彼女をどうするつもりだ」

黄色髪の男は太宰さんに尋ねた。

「Aかい?Aはね、武装探偵社に入れるよ」

愛おしそうにするりと頬を撫でた。
瞳が、もうこれ以上危険な事をさせたくないとでも言っているよう。

「ってことで、森さん宜しくね〜」

ぶらぶらと、あの幼女を引き連れた男の方をくるりと見る。
全く…幼女の男は静かに溜息を吐いたが、まぁ。今回は多めに見ようと静かに言った。
ぴかりとまたもや光始める空。

「おや、もうお別れの様だ」

太宰さんは言った。
空から降ってきた奴は、皆体を光で包まれる。

「…ん‥‥」

布が擦れる音。
太宰さんがお姫様抱っこしていたA先生が目が覚めた。
オレンジ色の綺麗な瞳に俺の姿が移る。

「…治」

はいはい。
動くともままならないA先生の移動手段の太宰さんに声をかけた。

砂の上を歩く音。俺の目の前で止まる太宰さん。
A先生はうっすらと微笑んだ。

「ごめん、君の気持に応えることは出来ない。轟」

なんだ、ばれていたのか。
必死に隠していたつもりだったから妙に恥ずかしくなる。
そんなに俺ってわかりやすいだろうか。

額にむにゅっとした感覚。

「今までありがとな。世話になった」

にししと笑うA先生。
キスを落とされた場所がじんじんと熱くなる。
頬が赤く染まる俺と反対に驚き顔の太宰さん。

「_じゃあな」

白く、白く、綺麗に光った。
A先生の声が、いつまでも俺の耳に残っていた。
なぁ、先生。いつか、会いに行くからな。

有言実行される日は、そう遠くなかったそうな。

#コミュ障補佐/中原中也/リクエスト→←#



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設定タグ:文スト , 双黒 , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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嘘吐き姫(プロフ) - 中也さん、今度は戦国武将ですか…敵がバッサバッサですね(笑) 名前っぽいペンネームも素敵ですけど、双黒尊い…って、率直&ドストレートで、私は結構好きです!名前変わっても双黒尊い…さんはM・T(マイ・天使)です(( (2019年11月8日 19時) (レス) id: 346988f6d0 (このIDを非表示/違反報告)
双黒尊い…(プロフ) - リアさん» それは大変失礼いたしました。私がこのCSSを気に入っているという諸事情であまり変えたくないのです。本当に申し訳ございません。もうお知りになっているのかはわかりませんけれど右側にあるCSSという所を押せば、普通のに切り替わりますよ。 (2019年11月8日 16時) (レス) id: f17b921f9b (このIDを非表示/違反報告)
リア - あの小説のほうはすごく面白いのですが背景が桜の花びら、字が白なので大変読みにくいです壁紙を変えてください (2019年11月8日 16時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - 双黒尊い…さん» リクエストください(笑) (一つ前のコメント、レスつけそびれちゃいました、すみません!) (2019年11月6日 22時) (レス) id: 346988f6d0 (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リクエスト消化、ありがとうございました!びびりみたいなコミュ症みたいな夢主ちゃんめっちゃ可愛かったです(眼力) あと、「俺ってそんなに怖いのか」っていう中也さんの心の叫びにちょっと笑っちゃいました(笑)リクエスト停止を解消したら、是非私の作品にも (2019年11月6日 22時) (レス) id: 346988f6d0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:双黒尊い… | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kouki69632/  
作成日時:2019年10月22日 19時

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