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私は葡萄酒をカゴに入れながら言った。
中也とは我々ポートマフィアの幹部である中原中也だ。
私も我ながら凄い人を彼氏にしたなと思う。
「それは良いですね。美味しそうです」
中島はにこり笑った。
「それにしても今日は良くAさんを見かけますね」
「え…?」
今日確かに外を歩いていたがいつもより少なかったはずだ。
今日は主に資料の整理をしていたのだから。
「た、例えばどこで見たの…?」
何故か妙に嫌な予感がした。
胸のざわざわ感。なくなれ、そう思ったがなくならない。
「公園で先程見かけましたよ?」
っ…
あぁ、当たってしまった。
私は今日公園によっていない。
「ああ、今はとても“良い匂い”がしますね、さっきは“嫌な匂い”がしていましたけど」
中島のその言葉で全てがわかった。
分かってしまったのだ。するりとカゴが手から落ちた。
「!Aさん!?」
ドッペルゲンガーだ。私のドッペルゲンガー。昔おばあちゃんがそう言う体験をした事があるって。
ドッペルゲンガーからは嫌な匂いがするって。最初はまだよしとしても段々ドッペルゲンガーに体を乗っ取られ始め最終的には透けてなくなる。この世から、私の存在全てがなくなる。
確か助かる方法は__
「っAさんっ!?手がっ」
視線を下に落とせば手が透けている。透け始めている。頭の中が真っ白になるのが分かった。
「、っあ!待ってください!!」
中島の呼び声を無視する。全て全て。
嗚呼、このままでは無くなってしまう何もかもが。思い出も、仲間も。全てが。
確か、確か、助かる方法は。
「っ中也っ!」
バァンと大きな音を立ててドアを開けた。
「なんだっ!?」
嗚呼、気付いてもらった。良かった、それはただの勘違いで。
「んだよ…ただドアが開いただけかよ…」
中也は私に気付いていないかのようにドアを閉めて私の横を通り過ぎた。
「っまって!」
中也の後を追うようにリビングに入る。するといい香りが漂ってきた。
「A。今日の晩飯は何だ?」
「中也の好きなお酒を入れた煮込みビーフシチューだよ」
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嘘吐き姫(プロフ) - 中也さん、今度は戦国武将ですか…敵がバッサバッサですね(笑) 名前っぽいペンネームも素敵ですけど、双黒尊い…って、率直&ドストレートで、私は結構好きです!名前変わっても双黒尊い…さんはM・T(マイ・天使)です(( (2019年11月8日 19時) (レス) id: 346988f6d0 (このIDを非表示/違反報告)
双黒尊い…(プロフ) - リアさん» それは大変失礼いたしました。私がこのCSSを気に入っているという諸事情であまり変えたくないのです。本当に申し訳ございません。もうお知りになっているのかはわかりませんけれど右側にあるCSSという所を押せば、普通のに切り替わりますよ。 (2019年11月8日 16時) (レス) id: f17b921f9b (このIDを非表示/違反報告)
リア - あの小説のほうはすごく面白いのですが背景が桜の花びら、字が白なので大変読みにくいです壁紙を変えてください (2019年11月8日 16時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - 双黒尊い…さん» リクエストください(笑) (一つ前のコメント、レスつけそびれちゃいました、すみません!) (2019年11月6日 22時) (レス) id: 346988f6d0 (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リクエスト消化、ありがとうございました!びびりみたいなコミュ症みたいな夢主ちゃんめっちゃ可愛かったです(眼力) あと、「俺ってそんなに怖いのか」っていう中也さんの心の叫びにちょっと笑っちゃいました(笑)リクエスト停止を解消したら、是非私の作品にも (2019年11月6日 22時) (レス) id: 346988f6d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:双黒尊い… | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kouki69632/
作成日時:2019年10月22日 19時