#３８ ページ38
【グルッペン】
「Aに、ここは敵の巣で自分が餌だということを十分に理解してもらおうか。」
１人で呟いたその言葉は風に乗って消えていく。
え、室内だから風なんて吹かない？
シーっ！シーっ！！
Aがトントンのことを好いているかなんて、正直知らないし分からない。
だが、好きでいてくれないと困る。
…でもやりすぎか。
「トン氏に見つかったら怒られるぞこれは…。」
少し肩を落とすと、目の前から白シャツ姿の男がやってきた。それがトントンだと分かるのに少し時間がかかる。
「どしたん、グルさん。」
「いや…なんでもない。散歩だ。」
これは飛んだ大嘘つきだな。本当はここで先ほどの出来事を話したいところではある…が。
「ところでトン氏、軍服はどうした？」
そう尋ねると、トントンは困ったように眉をひそめる。
「いやぁ、朝起きたらなくなっとったんやわ。まあもしかしたらメイドさんが洗っとるのかもしれへんし…でも今２着中１着ちゃんとクリーニング出しとるはずやしなぁ…。」
１人で自問を繰り返す。
真実を伝えたいが、まだいいところじゃない。
「ならそのメイドは粛清か。」
その問いにあっさり答えるトントン。
「うーん、せやな。」
いつもなら『やめたれ』と笑って返すはずなのに、眼が本気になっていた。これも大先生の言う『機嫌が悪くなっている』というやつか。
これは面白くなってきたぞ…！
「トントン。」
「おん、なんや。」
「Aが何か知ってるかもしれないから部屋に戻ってみてはどうだ？」
そっと耳打ちした。
「お前…なんでか知らんけどわっるいかおしとんなぁ…。」
そこじゃなくて。
「まあたしかに、第一発見者は俺かも知れへんけど、それ以前になにが起きたんか知っとるのはあいつだけやもんな。帰ってみるわ。」
拳をゴツと２人で合わせて挨拶を交わすとトントンは先程Aが行った廊下を靴を鳴らして歩いて行った。
ほら、
「こういうことやろ大先生？」
監視カメラに向かって叫んだ。
きっと、Thank you, K.なんて、またあの２人の間でだけ交わされるような言葉を降り注いでいるのだろう。
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夜飴月／黄泉月(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます。そろそろ終わりなので、私生活が安定してきたら更新します…！！ (2019年10月8日 19時) (
レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
りんご - はじめまして！好きです(唐突な告白)気長に更新待ってます！ (2019年9月29日 17時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月／黄泉月(プロフ) - 月さん» コメントありがとうございます。私生活が忙しく、なかなか更新できずにすみません…。 (2019年5月25日 15時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
月 - 好きすぎる！ (2019年5月23日 6時) (レス) id: 235ab58054 (このIDを非表示/違反報告)
有 - 夜飴月／黄泉月さん» はい！楽しみに待ってます！ (2019年5月5日 0時) (レス) id: 4839ac1ad2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜飴月／黄泉月 | 作成日時：2019年1月18日 20時
