【d!】完全にハメられた【tn】

#１９ ページ19

というわけで、現在昼食中。
でも。


「あの…なぜ皆様お揃いなんですかね。」

「別にええやん。仲良くしたいもん！」

「なんだ？文句でもあるのか。」

野蛮な方が１人います助けてください。
しかも隣に座っていて正直怖いです。
もう片方の隣はトントンさん。

できればグルッペンさんとオスマン紳士様を交換していただきたい…！
という願望も叶わず。

圧に耐えきれずに心臓をばっくんばっくん言わせながら米で作った『おかゆ』という料理を食べた。

ちなみに、朝食のやつは『おにぎり』とか『おむすび』というそうだ。

「Aちゃん、具体的に何が嫌なん？」

ああ、こんなに真摯に私の考えを受け止めてくれる人がいるなんて。

「スパイ業そのものが嫌なんです。
忙しいだとか、疲れるとかもそうなんですが、なにより…

人を殺すとか、あまり物騒なことをしたくないです。」

「ほう、興味深いな。」

嘘つけ、これっぽっちだって思ってないくせに。
しかしこれで少しでも私への執着を失くしてくれたら幸いだ。

「A、グルッペン燃えとるで。どんな手段を使えばAをこちら側に付けられるか。」

「な、何言って…。」

…。

たしかに楽しそうに笑っているグルッペンさんに、思わず身震いを１つ、２つ。
やだこの人怖い。

おかゆをさっさと口に放り込む。
そして、『ごちそうさまでした』と挨拶をすると、素早く席を立った。
ごめんなさい、今日だけでもメイドさんたち食器を頼みます！！

しかし。

「待て。」

「は、はいぃ。」

トントンさん。犬か、とツッコまないで下さい。手首をギチ…と固く握られた私の気持ちにもなってから言え。
…あっ、言ってください。


「１週間後に仕事を与えよう。もちろん、『死』にはほとんど関わらない仕事だ。いいか？」

「えっあっ…はい。」

それより手が痛いです。

「２人とも聞いたな？」

トントンさんとオスマンさんは頷く。
くっそ、証人作られた。


「こちら側についてくれることを楽しみに待っているぞ。」


そして、ニィッと微笑むのだ。
…いや、微笑むなんて言葉は似合わないかもしれない。

すると、席を立ち、手首をそっと離すと『部屋までケーキを頼む』とメイドに伝えてダイニングルームを去っていった。

え、嗜好が可愛い。
…言動は全くもって可愛くないが。


「じゃあA、部屋戻ろか。」

トントンさんがそう言うのを合図に私もダイニングルームを出て行った。







「…あいつ嘘下手くそやな。」

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