#１８ ページ18
【A】
「…ふむ。」
思わず考え込んでしまう。
理由？扉の開け方を知らないから。
押しても引いてもうんともすんとも言わないこの扉はどうやったら発狂してくれるんだろう。
壊してもいいけど、そんな恨みはないし、下手すれば独房行きだ。
まず手がかりは…。
「横にあるカードキーか。」
失敗したな、鍵だと思って針金は持ってきたけど、こんなに最先端の技術を使っているとは思わなかった。
お腹がすいてきた。
おそらく、そろそろ正午。
「え、ちょっと待ってほんとにどうしよ。」
扉の前で腕を組んだり頭を抱えたり。
ひたすら考え続けていた時だった。
また、例の革靴の音が聞こえる。
…これは３人か？
「どこへ行く？」
…なんかバリトンボイス聞こえた。
響くこの声は、グルッペンさん。
スッと振り返ると、トントンさんに…この人は…オスマンさん。
滲み出るオーラが半端なく、私を圧倒する。
「あ、あれ？トントンさんバレてたんですか？それとも防犯カメラかなんかでバレました？」
「最初からに決まっとるやろ…。お前ほんまに元スパイか？分かり易すぎんねん。」
「す、すみません…。」
あれ、ここって私謝るべきではないよね。なんで謝ってるんだろう。
それにしても、バレていたという事実が恐ろしい。
元いた国の書記長なんて、ただ会議の内容書いてただけのクズだった。なんの役にも立たない無能。
「…頭おかしいだろ…。」
思わず相手に聞こえないくらいの小声で呟く。
すると、グルッペンさんが話し始めた。
「お前に最早逃げるという選択肢は与えられていない筈だが。
お前は望んで我が国の土を踏んだ。踏んだからには、我が国の規則に従って貰わないと困るぞ。」
ニヤリと笑って見下すように、言い聞かすようにそう言うグルッペンさんは、何かを裏に持っていそうだった。
「…何か…何か隠してますね、私に。」
「おおっと。疑心暗鬼も大概にしてもらおうか。…トン氏、捕まえてや。」
えっ、捕まえるってどういう。
と、すぐさま危険センサーが反応し、逃げの体制に入った時だった。
「グルッペン、ちょっと待ってくれへん？」
オスマンさんの一声で、その場の空気が止まるように静かになった。
そして、にっこりと笑って静かに近づいてくる。
…いや、やっぱりここの人たちの笑顔は怖い。
「暴力はよくないめう。Aちゃん、一回だけスパイやってみて、それから決めたらええんちゃう？」
あっ、その手があったか。
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夜飴月／黄泉月(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます。そろそろ終わりなので、私生活が安定してきたら更新します…！！ (2019年10月8日 19時) (
レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
りんご - はじめまして！好きです(唐突な告白)気長に更新待ってます！ (2019年9月29日 17時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月／黄泉月(プロフ) - 月さん» コメントありがとうございます。私生活が忙しく、なかなか更新できずにすみません…。 (2019年5月25日 15時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
月 - 好きすぎる！ (2019年5月23日 6時) (レス) id: 235ab58054 (このIDを非表示/違反報告)
有 - 夜飴月／黄泉月さん» はい！楽しみに待ってます！ (2019年5月5日 0時) (レス) id: 4839ac1ad2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜飴月／黄泉月 | 作成日時：2019年1月18日 20時
