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#13 ページ13

「Aが何を言おうと、このたった1つの選択肢は揺るがない。どうする。」

いや、どうするもなにもそれしか選択肢がないって、今そうおっしゃいましたよね総統。

「ですから…あっ、そうですよ。私いちごプリンも食べなくちゃいけないんで。またあの目まぐるしい日々を送りたくないです。」

元々いた国では、帰ってきても1日後には、ひどいときには3時間程度でまた新たな国に行かされた。
ほんと、酷だ。

しかし、グルッペンさんはなにを思ったのかほくそ笑む。

「ほう、いいだろう。ならそのいちごプリンは食べたいときに食べたいだけ出してやるぞ。」


え、今なんて?
『総統権限だ!』なんて言って笑う目の前の金髪に考えがぐらりと傾く。

「休みも取り放題。やるべきことを熟せばな。」

ちょっちょっと待って…。

「ここにいれば、お前は限りない『自由』を手に入れることができる。」

「…前向きに検討します。」

それだけ言うと、トントンさんの部屋へと戻るために、総統室を出た。
そのときに発せられた『期待しているぞ』の一言が、どれだけ精神を蝕んだことか計り知れない。

しかし、たしかに条件は最高だ。

前の国での不満が全てカバーされ、むしろ特典まで付いている、断る理由が見つからない。


…でも、何か嫌な予感がした。
胸騒ぎってやつ。
トントンさんの部屋に帰ると、既に姿はなく、壁に掛けられていた軍服も無くなっていた。






【トントン】

Aが総統室を出て行った隙をついて、総統室へと入る。
ゾムの声がしたと思ったが、天井板があいていることからこの場にはいないことを悟った。

「トン氏、おはよう。」

「おん、おはよう。」

簡単に挨拶を済ませ、数秒の間が空く。


「少しあの蹴り方は可哀想だと思ったが。」

顔は全然哀れんでいないように見える。
むしろ、楽しそうだ。

「大方、日頃書類整理で溜まっとったもんが出たんやろ。」

「意識するつもりは無かってんけどな。」


たしかに、革靴はだいぶ硬いし、女の体にめり込ませるような武器じゃないかもしれない。
増してAに。


「それと…あれも。使う必要はあったのか?」

指を指す先には粛清剣。
…監視室から見てたお前ならわかっとるくせに。

「あの渾身の蹴りで立ち上がって走るようなやつやで。ほんま、どれだけしぶといんや…。
今も、剣で腹を抉ったはずなのに何事もなく過ごしとるし。」

「本当に素晴らしいな、彼女は。」



グルッペンの目が僅かに煌めいた。

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作品ジャンル:恋愛
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夜飴月/黄泉月(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます。そろそろ終わりなので、私生活が安定してきたら更新します…!! (2019年10月8日 19時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
りんご - はじめまして!好きです(唐突な告白)気長に更新待ってます! (2019年9月29日 17時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月/黄泉月(プロフ) - 月さん» コメントありがとうございます。私生活が忙しく、なかなか更新できずにすみません…。 (2019年5月25日 15時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
- 好きすぎる! (2019年5月23日 6時) (レス) id: 235ab58054 (このIDを非表示/違反報告)
- 夜飴月/黄泉月さん» はい!楽しみに待ってます! (2019年5月5日 0時) (レス) id: 4839ac1ad2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夜飴月/黄泉月 | 作成日時:2019年1月18日 20時

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