#１２ ページ12
朝の５時半。自然に目が覚めた。
そりゃあまあ、あれだけ早く寝たんだから。
ソファに横たわるトントンさんはまだ起きていないようだった。
机の上には、電気を使わないろうそく式のランプ。
…昨日徹夜していたってこと？
「お疲れ様です。」
声をかけ、落ちかけている毛布をかけた。
「…よし。こっから出るぞ。」
着替えながら意気込む。
動きやすい服装…動きやすい服装…。おっ、パーカーがある。いいね。
と、迷わずそれを羽織ると、洗顔したり、髪を解いたりした。
そして、鏡を見て笑顔を見せる。
「もし殺すと言われたら前みたいに逃げよう。もしその辺の民家をくれたら農家を営もう、うん！」
農家は半分くらい冗談だったが、今となっては夢の一部になってしまった。…なぜなのかはよくわからない。
トントンさんの部屋から出て、グルッペンさんの部屋に行く。…場所わかんないけど。
扉がありすぎて困るんだよなぁ。
そのとき。
「うわっ！？」
いきなり一番近くの扉が凄い勢いで開き、見事に吹っ飛ばされた。
そして、愉快そうな声が響く。
「すまんな、A。悪気はなかったぞ！」
「あっいえ…おはようございます。」
グルッペンさんに中に入れと言われたので、打ち付けたお尻をさすりながら部屋に踏み込む。
扉には『総統室』と書いてあった。
「あっおはようございます。えっと…ゾムさん？」
「よう覚えとんな。おはよう。」
『ニヒヒ』と笑っている人が総統室に１人。
私に侵入容疑がかかったときに、１番早く追いかけてきた人だと思う。
「…あのときはすみません。銃を足元とはいえ放って…。」
「ああ、全然大丈夫やで！それのおかげで戦意がないのが見て取れたし。…トントンは何やっとんねん。」
あはは、まああのときは戦意バリバリ出てたので許してください。
なるほど、それであの後追ってこなかったのか。
などと考察を深めていると。
「ごほん。お前の待遇についてが決まったぞ。」
重要な話題が躍り出た。
ゴクリと生唾を飲む。
「A。
我々国専属のスパイにならないか？」
「あっ、お断りします。」
即答。それにグルッペンさんは面白そうにニヤリと笑みをこぼした。
「私農家やるんで。トマト作るんで。」
あれ、ゾムさんなんか顔歪んでない？トマトは美味しいよ。
スパイ業から足を洗うためにこっちに来たのに、またスパイなんかになったら元も子もない。
まさに、本末転倒と言えるだろう。
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夜飴月／黄泉月(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます。そろそろ終わりなので、私生活が安定してきたら更新します…！！ (2019年10月8日 19時) (
レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
りんご - はじめまして！好きです(唐突な告白)気長に更新待ってます！ (2019年9月29日 17時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月／黄泉月(プロフ) - 月さん» コメントありがとうございます。私生活が忙しく、なかなか更新できずにすみません…。 (2019年5月25日 15時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
月 - 好きすぎる！ (2019年5月23日 6時) (レス) id: 235ab58054 (このIDを非表示/違反報告)
有 - 夜飴月／黄泉月さん» はい！楽しみに待ってます！ (2019年5月5日 0時) (レス) id: 4839ac1ad2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜飴月／黄泉月 | 作成日時：2019年1月18日 20時
