#４２ ページ42
「あの…トントンさん。」
「…なんとなく言いたいことはわかるで。」
みみに付けられた通信機器を起動し、応答を待つ。しばらくして、『どうした？何か問題でもあったか』というグルッペンさんの声を聞いて即座に怒鳴った。
「どうしてトントンさんと恋人って設定にしちゃったんですか！！たしかに２人がやりやすいように設定するとは言ってましたけど…ぜんっぜんやりやすくないです！！」
その言葉を発した瞬間、ブチっと途絶える通信。
…くそっペンが…！！
「す、すまんな。まあこのパーティの間だけやし我慢しといてくれへん…？」
トントンさんの困り眉にこちらが悲しくなった。
「違います…。私みたいな貧乏国家出身の元スパイ農家志望が一国家の幹部と付き合っているという事実を嘘でも受け止めたくないだけです…。」
『失礼ですもん』と言うと、静かに頭を撫でられた。
「しかし、本当にいろんな国の人がいますね。」
「誰が誰かわかるん？」
まあそれは元スパイですから！！
トントンさんの質問に胸を張って答える。
「そうですね、あの女の人はズヴァール財閥のご令嬢、あのちょいイケのおじさんはラーン家の主人でしょうか…奥さんは先日亡くなられたと聴きましたけど。」
そこまで説明すると、トントンさんはへえ、と感心したような目で私を見た。そして、いつものようにはにかみ笑いを見せる。
すると、そのときだった。
「それにしても…グルッペンさんはどこにい…んっ！？」
いきなりのことでなにが起きているのかさっぱりわからなかった。しかし、唇への柔らかい感触や、後頭部に添えられた手からキスされているんだ、と自覚することができる。
軍兵器としてしか育てられなかった母国でキスなんてしたことがあるはずはなく。
舌なんて入れるような映画の展開ではないが、軽いそれは数十秒に渡って続く。
「んぅっ…！？」
離れようとしてもあの男らしい腕が絶対に逃さない。息が続かなくなり、半分涙目になっていたとき、ようやく離され、私は二歩ほどトントンさんから後ずさった。
「はあっ…なに…して…！」
ようやく発することのできたその言葉。
すると、トントンさんは私のことをぐいっと抱き寄せて屈むと、話し始めた。
「お前の母国の国王が…いた。見つかったらやばいと思ったんや…恋人の設定を守り抜くにはこの方法しかないと思って…すまん。」
えっ？
じゃあワンチャン見つかったら…
この場で殺されるじゃないですかやだ。
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夜飴月／黄泉月(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます。そろそろ終わりなので、私生活が安定してきたら更新します…！！ (2019年10月8日 19時) (
レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
りんご - はじめまして！好きです(唐突な告白)気長に更新待ってます！ (2019年9月29日 17時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月／黄泉月(プロフ) - 月さん» コメントありがとうございます。私生活が忙しく、なかなか更新できずにすみません…。 (2019年5月25日 15時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
月 - 好きすぎる！ (2019年5月23日 6時) (レス) id: 235ab58054 (このIDを非表示/違反報告)
有 - 夜飴月／黄泉月さん» はい！楽しみに待ってます！ (2019年5月5日 0時) (レス) id: 4839ac1ad2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜飴月／黄泉月 | 作成日時：2019年1月18日 20時
