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「…と、いうわけなので。約束通り最後の仕事を済ませたので、この国のスパイは辞めさせていただきますね、国王。」
クソが。これでスパイ業からは綺麗さっぱり足を洗って、農家でも始めようかと考えていたのに。
「なんだこのザマは。」
思わずいつもよりも口が悪くなる。
それもそうだ、スパイをやめると口走った瞬間、軍兵に殺されそうになったからだ。
こんなことが、あってたまるだろうか。
所謂、口封じのようなものだろう。使うだけ使って捨てる。
「ったく…私は紙おむつみたいな使い捨て商品じゃないっての。」
１人でブツブツと呟きながら森を歩く。当然、今は城から逃げてきて、行く当てを探しているところだ。
さて、誰に助けてもらおう。
友達なんてそうそう作らなかったし、こっちが使えるような奴はいない。
…１人を除いては。
そっと通信機器を取り出し、数少ない連絡先から通信相手を選ぶ。
「シッマ…。」
こいつにはなるべくかけたくなかった。こいつには。
シッマは『我々国』とかいう国の幹部になったらしく、かつて酒屋で語り合った友だ。
…まあ、あのとき私は未成年で、法律で酒は禁止されていたけど。
「シッマであってる？」
「おお、Aやん！！珍しいなぁ、どしたん？」
コッテコテの訛りとデカイ声が通信機器から流れてきた。的確に今の状況を説明していく。
スパイを辞めたこと。そしたら国に指名手配されたこと。居場所が欲しいので、我々国の土地…家を狭いのでいいから分けてくれないか、ということ。
まあ、どうせシッマのことだから断るだろう。それか、文句を永遠に吐き続けるか…。
「おん、わかった。じゃあ今からでも来い。こっちまで来ても、日は全然落ちんやろうし。」
ん、あれ？やけに親切だな今日は。
不思議に思ってそう言おうとしたが、あっさり電話を切られる。
そして、書面通信により、『我々国の城に来い』という件名の元、さまざまな詳細が書かれていた。
どこから入ればパスポートが無くとも大丈夫かなどもしっかり書いてある。
ここまで優しいと逆に怪しささえあるね、うん。
…でもまあ。
「どうせ道はないし行くしかないか。」
目指すは、我々国だ。
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夜飴月／黄泉月(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます。そろそろ終わりなので、私生活が安定してきたら更新します…！！ (2019年10月8日 19時) (
レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
りんご - はじめまして！好きです(唐突な告白)気長に更新待ってます！ (2019年9月29日 17時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月／黄泉月(プロフ) - 月さん» コメントありがとうございます。私生活が忙しく、なかなか更新できずにすみません…。 (2019年5月25日 15時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
月 - 好きすぎる！ (2019年5月23日 6時) (レス) id: 235ab58054 (このIDを非表示/違反報告)
有 - 夜飴月／黄泉月さん» はい！楽しみに待ってます！ (2019年5月5日 0時) (レス) id: 4839ac1ad2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜飴月／黄泉月 | 作成日時：2019年1月18日 20時
