【w.r.w.r.d.!】燃ゆる思ひを【短編集】

国営放送【kn】【ut】 ページ7

「えーっみなさん、国営放送今日もね、やっていきたいと思います。」


「しっかりと…枠をとっていくぅ！！」


ニコニコ動画を開き、迷わずイヤホンを耳に差し込む。

見ているのは、とある生放送。

私は友達と結成したグループ『花桜』というところで『夕立』としてYouTuberを始め、今ではそこそこ有名になった。

まして、昔から視聴していた『○○の主役は我々だ！』さんとコラボできるだなんて、思いもしなかった。

先日実現したその企画のことを思い出し、思わず頰が緩む。


「先週上がってるのは…あれやな、コラボ動画が上がっとる。」


「ほんまや！」


２人のテンポの良い話は時折私を笑わせる。

そして、視聴者からのおたよりに。


「前のブロマガに花桜の方たちと食事に行ったと書いてありましたが、どうでしたか？」


「どうでしたかってなんやねん。」


本当に。


「可愛かったで。俺的には夕立さんとかタイプやったけど。」


「そ、それ言って大丈夫なん？」


語尾に笑いをつけながら鬱先生をからかうコネシマさん。

…なんか照れる。


「まあ、たしかに夕立さんはかわええな。彼女にしてどろどろに甘やかしてやりたいタイプ。」


「それな。…と、趣旨がズレましたが。なんやろな、全体的にご飯す…。」


内容が頭に入ってこない。

顔はおそらく真っ赤、コメント欄では『問題発言かな？』『実写すればいいのにな』などなど。

誰かは『三角関係やんけ』なんて書き込む。


「…っ。」


恥ずかしすぎる。

気がついたら私はTwitterを起動していた。


『コネシマさんと鬱先生…すみません、恥ずかしいです』


そう書き込むと、リツイートやいいねがどんどん増える。

今国営放送を見ていない人にとっては、なんのことかはわからないだろう。

しかし、伝書鳩はどこにでも湧く。


「シッマ、夕立さんツイートしてるって。」


そこから少し間が空く。

おそらく２人ともTwitterを確認しているのだろう。


「ふっ…す、すいませんでした！！ほら、シッマも。」


「えっ、夕立さん国営放送聞いとるん！？す、すんませんほんまに…。」


半笑いの謝罪。

謝らなくても！

と声にしても意味がないため、あとでDMでも送ろうか。


「これはやらかシマやな。」


「せやな。…ってお前もやろ大先生！！」


耳に聞こえる大声といい声。

なんだかそれの１つ１つが恥ずかしくて、しばらくの間クッションを顔に押し付けていた。

堕天【tn】→←犬【sha】

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