【w.r.w.r.d.!】燃ゆる思ひを【短編集】

愛【tn】【gr】 ページ15

《軍パロ》《狂愛っぽいです》


「待っ…離して…！」


そう訴える彼女を自らのマフラーで縛りあげる。

涙目の顔がなんともそそって、可愛い。

マフラーを少し掴んで彼女を置いたつもりだったが、感情の昂りからか、壁に叩きつけていた。


「トン氏、今のはひどいぞ。もっと大切に扱え。」


「すまん、加減間違えた。」


さっきから『彼女』と呼んでいるのは、敵国から連れてきた我々国の捕虜だ。

幹部らしいが、あっさり売られて今は地下牢に入れられている。

どんな情報を吐くかが楽しみだが、それより…。


「随分と可愛らしい顔をしているが、本当に幹部か？名前を言え。」


それや、それ。

この怯えきった表情も、可愛くて仕方がない。

負けず嫌いなのか、その怯えの中でキッとこちらを睨む仕草もたまらなかった。


「…そう…。私が幹部の…A。早くここから出して。」

「それはできんわ。お前にはいろいろ喋ってもらわなあかんねん。」


そう言って、Aに近づき、軽く屈んだ。

そして、軽い口づけを落とす。


「んむっ…！？」


驚いたような表情を見せてから、涙がほろりほろりと。

儚くて、好きだ。


「トントン、何抜け駆けしてるんや。…A、俺がええやろ？」


あの低音で相手の頭を侵食し、またAにキスを。

最早抵抗する気力さえ失ったAは、されるがまま。

かろうじて発している『やめて』の言葉も、地下から地上には届かない。

グルッペンが顔を離すと、Aは拭うこともできない涙を流し続けていた。


「ふぇっ…、やめて…こんな質問の仕方…っ、知らない…！」


それはそうだ、なにも問うつもりはないから。


「俺らは、ただAと戯れられれば本望なんや。…どうせあの国もすぐ滅ぶやろ。なあ、グルッペン。」


「ふっ、愚問だぞ。恐らく今仲間が奇襲から帰ってくる。結果が楽しみだろ、A？」


『奇襲』。

この言葉を聞いた瞬間Aは絶望に堕ちた顔をした。

また、これが最高にイイ。

グルッペンは濡れたAの頰をなぞり、腰から抱きかかえた。


「…もうお前の居場所はここしかない。」


顔を横にふって否定するAに追い打ちをかけてやる。


「俺らなら落ちることのないこの城で、お前をめいっぱい愛したるで。」


その言葉にAは肩を震わす。


「…っ、愛なんていらない。」


グルッペンと目を合わせた。

そして、２人で一気に吐き出すその言葉。





「なら、無理やりにでも愛したる。」

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