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そのとき、グルッペンが思いついたようにああ、と声を出す。

そして、また自らの布団へと引き寄せた。

…今度はなに?


「雷の音が怖いなら…耳、塞いでやればいいんじゃないか?」


何言ってんの、と言葉にする前に、耳に違和感。

こいつまた舐めて…!


『んっ…やめてって言って…のに…!』


すると、トントンの声が伝わる。


「うーん、たしかに雷の音でビクつかなくなっとる。…でも、耳のせいで前よりビクついてるやん。」


そんな煽り文句をかけられ、納得をしつつも黙って欲しいと感じた。

もう片方の耳から雷の音が入ってくる。

しかし、全く気にならない。


『も、もういいから…!!』


そう言って無理やりグルッペンの布団から逃げ、トントンの布団に避難した。

雷の音も、少しずつ小さくなりつつある。

まあ、まだ鳴ってはいるけど。


「なんでトン氏の布団行くんだよ。」


『トントンは変なことしないもーん。』


少し不貞腐れながら俯く。

しかし、グルッペンはため息をついて虚空を見つめた。


「本当に何もしなかったらいいんだがな。」


『え?』


その言葉が聞こえた瞬間、拘束感に包まれる。

まさか…。


「ああ、A抱き心地ええなあ…。」


『ん…抱き枕じゃないんですが。』


脚と脚を絡めて、少し苦しいくらいに強く抱きつかれる。

背後から抱きしめられているため、顔が見えずに少し怖い。

しかし、雷の音がしても、安心感と羞恥心でいっぱいで、驚かなくなる。


「どうや、こうすると怖くないやろ?」


首のあたりに顔を一瞬埋めて語りかけられる。


『トントンが怖い。』


「なんやそれ。」


ふふっと笑われると、グルッペンが頰を軽く膨らませた。

そして、腕を引く。


「怖いならこっちにくるといいぞ。」


「嫌や、Aは離さへん。」


『お前ら本当にいい加減にしろよ。』


こんなになるのは久しぶりだ。

2人とも完全に深夜テンションで頭が逝かれているようで。

でも、なぜだろう。

いつのまにか雷の音も止み、2人のゆっくりとした低音しか耳に届かない。


『ふふっ。』


「何わろとんねん。」


『ありがとう、って。』


それだけ伝えると、トントンもグルッペンも黙って布団をかけてくれた。

そして、おやすみと声をかけられる。

2人に挟まれて寝不足になりつつも、雷という脅威に少し耐性がついた。


もう一度あの雷鳴を聞いてみたい、なんて思っているのは多分気のせいだと思う。

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夜飴月/黄泉月(プロフ) - 有さん» 了解です。私も最近この小説が恋しくなってきた頃なので、今書いているtn小説が終わったら続きだします!! (2019年3月16日 12時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
- よし。続編出しましょうそうしましょう。てか出してくれるのを期待します最高です。ら (2019年3月14日 20時) (レス) id: 3b3f8a8c71 (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月/黄泉月(プロフ) - 夜櫻さん» コメントありがとうございます。こちらこそ、リクエストいただいて本当に嬉しかったです!楽しみにしていただいていることを糧に次作も頑張ります! (2018年11月24日 0時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
夜櫻 - 夜飴月/黄泉月さん» お疲れさまでした!最後にツンデレ書いて頂きすごく嬉しかったです♪『何を書くか』それは私がつっこめることではないのですが次作も楽しみにしてます! ありがとうございました! (2018年11月24日 0時) (レス) id: c67cff5c66 (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月/黄泉月(プロフ) - シロ(shiro)さん» コメントありがとうございます。残念な思いをさせてしまい、すみません…別作品も読んでくださっていて、本当に嬉しいです。応援ありがとうございます! (2018年11月22日 23時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夜飴月/黄泉月 | 作成日時:2018年10月23日 20時

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