後夜祭 ページ15
私は何も見なかった。
私が見たのは、絆創膏だけ。
自己暗示をかけながら、保健室からくすねてきた絆創膏を腕に貼る。
すると、頭に大きな手が。
『教授…！』
振り向いて少し微笑んで見ると、教授もニコッと笑った。
まさか、私のコスプレを見にきたとかではないよね。
流石に、そこまで落ちぶれた人ではないことを私はよく知っている。
em「写真撮りたくて探してたんですよ！いいですか？」
前言撤回。
『…どうぞ』と言った時の教授の笑顔といったら忘れられない。
廊下に響くシャッター音が恥ずかしい。
em「うんよく撮れとる、ありがとう。そういえば、もう少しで後夜祭始まるんとちゃうか？」
さっきまでの敬語は何処へやら。
…というか、マズイ。
瑠美と後夜祭一緒に行こうって昨日約束してたんだっけ。
『あ、ありがとうございます！』
それだけ言うと、廊下を走らないように、しかし急いで体育館へ向かった。
腕時計を見ると、現在６時前。
たしか、後夜祭は６時から７時の間だったはず。
…瑠美に殺される。
早歩きで窓の外を見ると、来校者たちがみんな帰っているのが確認できる。
自分としたことが、スケジュール管理もろくにできないなんて。
あと３０秒のところで体育館に着く。
そして、瑠美を探すと、後ろの方できょろきょろと辺りを見回していた。
『瑠美っ！！』
肩をポンと叩く。
瑠「あっA見つけた！えっと…丁度６時ぴったり！時間厳守さすが！」
いや、別にそう言うわけじゃ…。
反論する隙も与えずに、司会が前にステージに立つ。
「どうもーっ、文化祭実行委員長の棚田です。わたくし、後夜祭の司会進行も担当させていただきます！よろしくぅっ！！」
テンションの高さが異常だ。
朝の方法のテンションは低かったことから、大方後夜祭の司会のみが望みだったのか。
司会が話すと、軽音部の１グループが出てくる。
すると、ドラマの曲や、アニメの曲をメドレーにして演奏し始める。
瑠「すごいね…！」
『うん。こういうのできる人って尊敬する。』
爆音の中でかろうじて会話を繋ぐ。
と、そのとき。
瑠美がいきなり慌て始めた。
瑠「なっ…ない！！財布ない！！ちょっと取りに行ってくる！！」
『えっ！？ちょっ…。』
『私も行こうか』と言葉にする前に走って行ってしまう。
…もう、『校則３ 生活態度 学校内は体育館など指定の場所を例外として基本走ることを禁止とする』なのに。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 206人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夜飴月／黄泉月(プロフ) - れなさんさん» コメントありがとうございます、頑張ります！ (2019年2月17日 17時) (
レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
れなさん - ありがとうございます！更新頑張ってください！応援してます！！ (2019年2月17日 12時) (レス) id: 333c350adf (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月／黄泉月(プロフ) - れなさんさん» コメントありがとうございます。全然大丈夫ですよ！それくらいならパクリの域には入りません。気軽にどうぞ！ (2019年2月16日 21時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
れなさん - いつも閲覧させてもらっている者です！この作品すっごく面白くて大好きです！！お聞きしたいのですが、私、新作を書こうと思っていまして、強気だけど耳とかが弱いって夢主ちゃんにしたいのですがお借りして宜しいですか？ (2019年2月16日 20時) (レス) id: 333c350adf (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月／黄泉月(プロフ) - イムさんさん» コメントありがとうございます。応援ありがとうございます、頑張ります！ (2019年1月21日 21時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夜飴月／黄泉月 | 作成日時：2018年10月22日 19時
