21秒前 ページ29
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〖 Geto side 〗
「座ってて」
そう言ってキッチンへ向かうAの後ろ姿を見届け、ケーキの箱をテーブルに置く。
私のコーヒーと自分のカフェオレを準備しているであろう様子をぼーっと眺めていると、ふと視界に入った紙袋。
「……」
Aが好きなブランドではないし、初めて見る紙袋にほんの少しの興味が湧く。
「傑、」
「…」
「傑ー?」
「…あ、ああ。どうかした?」
キッチンから顔を覗かせているAが不思議そうに首を傾げている。
「いや、今日…泊まる、かな〜…って…」
覗かせていた顔を言い終わると同時に下げてしまうからきっと照れてるんだろうなって。
それに、ね。
泊まるってなると…色々と不安だろうし。
「今日は帰るよ」
「ぇ…」
「…」
……え?
なに?その顔は。
「か、帰るの…?」
「……帰ってほしくないのかい?」
「あ、いや…っ、えっと…」
「Aがいいなら泊まるけど、」
「……その、ふ、深い意味…とかはなくて…」
ごにょごにょと何かを言う姿がいじらしくて。
もう…私は君にゾッコンだよ、と言いたくなる。
「A」
「…ん?」
「こっちおいで」
小さく頷いたAは2つのカップを両手に私のところへやって来る。
「…冷たいので良かった?」
「うん、ありがとう」
そのままテーブルの向かい側に座ろうとするAの手を引き、自分の膝の上に座らすと「えっ、ちょ」と慌て出すからお腹に腕を回して動けないようにガッチリとホールド。
「あ、あの…傑…」
「ん?」
「ん?じゃなくて…その、これは…一体…」
「君があまりにも可愛いから抱き締めたくなってね」
「…」
「照れた」
「てっ、照れてない…!」
髪の隙間から見える耳は真っ赤に染まってて。
「本当に可愛いね」
「っうるさい!」
「ははっ、暴れないで」
肩に顎を乗せて包むようにして優しく抱き締め直すと、お腹に回した私の腕に自分の手を重ねたA。
そして、直後呟いた言葉。
彼女は私をどうにかしたいらしい。
「…今日は…傑と一緒にいたいんだけど、」
「……ダメかな」
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カケオレ(プロフ) - おめでとう夢主ちゃん。夏油と幸せになってくれ (7月22日 10時) (レス) @page50 id: 1b32a494c8 (このIDを非表示/違反報告)
加穂(プロフ) - 始めまして。こちらの作品読ませていただき夏油傑がもっと好きになりました!続きを読ませて頂きたいのですがパスワードを教えて頂いてもよろしいでしょうか? (7月15日 22時) (レス) @page50 id: 45a8770aec (このIDを非表示/違反報告)
モモ - こちらの作品読ませていただきました!すっごく面白かったです!パスワード作品も読んでみたいのですが、教えていただきたいです! (4月30日 23時) (レス) id: fdeb613541 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - こちらの作品を読んで傑が更に好きになりました!ありがとうございます😭好きすぎて何度も読み返してしまいました😭過去の作品も読んでみたいのですが、パス教えていただけないでしょうか?🙇♀️💦 (2023年2月26日 17時) (レス) id: df988bb267 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 天才…ありがとうございました…!! (2022年11月12日 23時) (レス) @page50 id: 6ec9f3ee23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:七 | 作成日時:2021年5月3日 20時