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彼との出会いは二年前の丁度この時期
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「あの」
マンションのエントランスで
腕組みをして壁にもたれ掛かった男性に声をかけられた。
会社の飲み会で先輩に何杯も
飲まされたせいで正常な判断が出来ない私は
" なんれすか " って言ったっけ。
「今晩だけ泊めてください」
そう言う初めて会った彼に
"どうぞ〜"と軽く返事をしてしまった
相当酔っていたからあまり覚えてないけど
翌日起きるともうその彼はいなかった。
隣人だって気付いたのは
その一ヶ月も後
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「あ!お隣さん!」
整った顔が目を丸くさせて私を指差す。
そういえばお隣さんと会ったこと無かったけど
こんな人が住んでいたとは…
「ど どうも…」
勢いよく話かけてきた彼は
この間はどうも、と言ったんだけど
私は全く覚えていなくて。
「そういえば…そんなこともあったような」
一から説明してくれたおかげで
少しだけ思い出すことができた。
「そういえば名前、言ってなかったですよね」
確かに表札もなくて何も知らない
「あ 俺」
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「おーい、生きてんの?何ぼーっとして。」
当時のことを思い出すと運命だったのかなっていつも思う。
今日のとこはここら辺にしておこう…
目の前の彼、めちゃくちゃぶすくれてるし。
「ねえお腹空いたんだけど」
「ご飯食べてる暇あるの?」
「俺、今日休みだもん」
「じゃあ何か買ってきてよ」
「何で俺が行くんだよ」
ほんと人の家で勝手に寝泊まりしておいて
よくこんな口きけるよね。
「だって寒いんだもん〜」
"もう"って私の髪くしゃくしゃにして
部屋を出る彼に、大きな声で
「あらん だいすき〜!」
そう叫ぶと、笑いながら
「思ってねえだろ!」
そう返ってきた。
________本当に好きなんだけどな
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作者名:さく | 作成日時:2018年1月15日 19時