零時の食卓 ページ12
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「銃兎さん、ロールキャベツお好きですか?」
「ああ、人並みに」
昨日の作り置きがあるので、冷凍庫から取り出し煮る。30分程経過して出来上がった。リビングで書類をまとめていた銃兎さんに声を掛ける。
「……とても美味しそうですね」
「銃兎さんのお口に合うかどうか」
「いただきます」
「はい、どうぞ」
向き合ってダイニング席に着いた。私が銃兎さんの食事風景を独占する形になり、自然とこんなことを思う。
「なんだか夫婦みたい……」
「A、声に出ていますよ…とても美味しいです」
「本当ですか!良かった。」
声に出ていた恥ずかしさを上回る嬉しさだった。あまりにも願望と未来予想図が遥か上空を行き過ぎていて、「夫婦」なんて表現をしてしまったが……
……本当にそうなれたらいいのにな。
「私が見込んだ女性の作る料理ですもんね。Aは少し抜けている所があるようなので心配したのですが、杞憂でした」
銃兎さんはもぐもぐしながら言う。
「銃兎さん……洞察力半端ないですね」
そう。抜けているのは私の欠点の一つで、この前なんてボヤになりかけたのだ。……気づくのが遅れていたら、なんて考えるとゾッとする。
もしあの時死んでいたら、銃兎さんと出会うことができなかった。
銃兎さんとこうやって話をする前に死んでしまうなんて今この時幸せの中にいる私には、とても考えられない。
これ以上の幸せを、私は知らない。だからこそ銃兎さんに飽きられるまででも、銃兎さん成分を蓄えておきたいのだ。
今を大切に、生きたい。
「Aはきっと良いお嫁さんになります、私の」
『お嫁さん』の言葉に心臓が切られたような心地がする。
頑張らねば。銃兎さんに相応しいお嫁さんになれるように、見限られないように呆れられないように。
「そうなれるように、私頑張ります」
「何ですか、それ」と銃兎さんは小さく笑うと、ご馳走さまでした、と手を合わせた。
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レイ(プロフ) - 五月雨さん» まじですか.......嬉しい.....大丈夫ですかね、こんなに私褒めてもらってて、待ったなしなんですけど、うれしすぎてどうしよう禿げます( ; ; )これからも五月雨さんをギュンギュンさせられるように更新頑張りたいです!ただこの先が難しくて(汗 バネにするぞ....! (2019年8月18日 11時) (レス) id: ddb4bf0a2e (このIDを非表示/違反報告)
五月雨 - 尊すぎて死ぬかと思いました…… キュンキュン通り越してギュンギュンしながら読んでます← 心の底からしょっぴかれてぇな………と痛感しました() 更新頑張ってください^^ (2019年8月14日 8時) (レス) id: fafc33f615 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - アネリアさん» コメントありがとうございます......!嬉しすぎて固まりました......( ; ; )まさか自分の作品がこんなにも刺さってくれていたなんて、書き手冥利に尽きます。好きすぎると言ってくださって嬉しかったです!変だなんて、神作品だなんてとんでもない。大好きです。 (2019年8月10日 11時) (レス) id: ddb4bf0a2e (このIDを非表示/違反報告)
アネリア - レイさん» 唐突な変なコメント&長文 で、申し訳無いです・・・・m(_ _)m (2019年4月29日 1時) (レス) id: e38d234ea8 (このIDを非表示/違反報告)
アネリア - レイさん» 銃兎さんが、大好きすぎて、銃兎さんへの妄想が日課な状態な私ですが、こんなに素晴らしい、好きすぎる作品を見つけてすごく幸せです!神作品をありがとうございました!(●´ω`●)続き、楽しみに待ってます!! (2019年4月29日 1時) (レス) id: e38d234ea8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイ | 作成日時:2019年2月1日 0時