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F.K 空涙 【偽りの涙】 ページ8

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「A、遅いよ」




名前を呼ばれてハッと振り向くけど、どうやら人違いだったらしい。


声の主を男の子を目で追うと、その前には前髪を整えながらぜえぜえと息を整える女の子が居た。




「ごめんなさい!でも今ものすっごい金欠でジュースだって奢れません!」


関係性がなんとなくわかってしまう女の子のセリフに思わず笑いそうになるけど、




「じゃあ奢んなくていいよ。
でも誰かさん待ってる間にお腹空いちゃったし、うちでなんか作ってよ」




男の子のこの言葉で思わず固まった。

パニックになりながら顔を赤くする女の子の手を引く男の子の顔まで赤い。




きっと純粋なおうちデートだ。









あんな恋愛、最後にしたのはいつだっけ。


時間通りに来る彼を待ちながら、私はぼんやりと思った。









「Aさぁん!」




人通りの少ない裏通りに響く彼___風磨くんの声。




「風磨くん!」


彼を見つけて、私は手を振りながら彼の元に歩いていく。






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彼は私の彼氏で、





私が彼が好きじゃない。




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「Aさん、今日どこ行きたい?」






「んー、映画はどう?」









いいねぇ、と右の口角を上げて、斜め上を見て何を見ようかと考えている彼の腰に手を回し、




財布を抜き取る。









彼の目線に入らないよう背中で財布から紙を取り出しポケットにしまったあと、




わざとらしく音を立てて




「あっ、風磨くん大変だよ!お財布落ちた!」




しゃがんで彼の財布を拾う。





「あっぶねっ、ありがとうAさん!」

「ううん。それより、昨日公開のアクション映画が面白そうでさ、どう?」

「俺も気になってたんだ!それ観よう」





嬉しそうに笑う彼を見てホッとする。

調べ通りだ。









私は、俗に言う詐欺師である。


大学生の振りをして、時に社会人の振りをして、私は老若男女問わずに詐欺をする。









「今日、夜まで空いてる?」




「ううん。


朝まで、空いてるよ」









やば、と小さく呟いて口元を片手で覆った彼の空いている腕に腕を絡ませ、映画館に向かう。









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- 続き楽しみです。更新頑張ってください。 (2017年4月20日 11時) (レス) id: bb46e3e750 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Mチャワン:| | 作成日時:2017年4月19日 21時

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