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先程の絶壁の近くにいるのも危ないということで、私たちは中腹あたりまで引き返した。暖を取ろうとしても風で火はすぐに消えてしまうし、ちっぽけな炎じゃちっとも温かくならない。言い様の無い沈黙が辺りを支配する。そんな重苦しい空気の中で突然として立ち上がり、彼は真剣な顔でこちらを見回すものだから何事かと思った。もちろん皆さんの目も奇怪な行動をし出した彼に……弘中さんのほうへ向く。
「これって、山からの……祝福ですか？」
「…………ハッ、随分手荒い歓迎だな」
『あまり歓迎されなかったみたいですね』
「じゃあ、邪魔者は早く撤退しましょうか」
重々しく口を開き、極々真面目に呟かれたその言葉の意味を理解するには少々時間が足りない。皆さんも静まり返ったことだから、私と同じように困惑しているに違いない。
無言のまま見つめ合うこの状況からいち早く回復したのはコージーさんだった。半笑いで茶々を入れながら彼の背中をバシバシと叩く。それに続いて彼の言おうとする真意を汲み取ることの出来た私たちは、緊迫したこの空気に似合わずおどけてみせる。
山からの祝福……上手い表現である。狂気山脈と呼ばれるこの山が素直に帰してくれないことは理解しているつもりだし、言ってしまえば予想通りだ。頂上踏んで、帰るまでが登山。だから、まだ狂気山脈登山は第二次登山隊は終わって無い。
くすりと笑いが誰からともなく漏れる。先程まで張っていた緊張の糸が少しだけ緩んだ気がして、改めて弘中さんに感謝の気持ちが込み上げた。
緊張とは人を鈍らせる。それはよい方向に働くことも、最悪の結末へ導くこともあるのだ。得体の知れない恐怖に襲われ、過度な緊張に苛まれた私たちに一番必要だったのは、その緊張を少し緩めること。頭の回転が速い彼のことだ、これを狙っての発言だったのだろう。
とりあえず、もう一度あの絶壁まで戻り、状況把握と周辺の探索をしようということで、一同はぞろぞろと坂道を下っていく。道中、会話は存在しなかった。皆、口を開けるほど余裕が無いのだ。心も体も。
この坂は急勾配という程では無い。至って平々凡々……山を上る心得があれば誰でも越えられる坂道なのだが、吹き付ける風によって体がぶれてしまう。暴力的なほどに私たちを襲う強風は、まるで私たちを降ろさせないとでも言いたげだ。でもあと少し、もうちょっとだけ進めばあの大黒壁の上部に＿＿
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銀(プロフ) - 第一次とPypyさん、kjでカロパをしていてほしいと思いつつ、夢主さんの取り合いが見てみたいですね(笑) 今でも読み始めた感情が蘇ってきます。素晴らしい小説をありがとうございました。感想戦行ってきます (2022年8月8日 23時) (
レス) @page26 id: 321732a1a4 (このIDを非表示/違反報告)
銀(プロフ) - まずは完結おめでとうございます。そしてありがとうございました。何周したのかわからないくらい愛読してました。界隈から少し離れていたのもあって久しぶりに見てみたら完結していて……読了後はなんともいえない感情に満たされました。 (2022年8月8日 23時) (レス) @page26 id: 321732a1a4 (このIDを非表示/違反報告)
Contrast(プロフ) - 完結おめでとうございます！ 最後の方は当時リアタイしてた時の感情を再び感じてしまい涙腺崩壊させながら読んでいました。この様な素敵な小説を有り難うございました！！ (2022年6月19日 7時) (レス) @page26 id: 415fb20f0e (このIDを非表示/違反報告)
YAKIRINGO(プロフ) - 前作めちゃめちゃ泣きました......！思わず最初から一気読みするほど面白くて、続きが気になります！！無理せず更新頑張ってください！！ (2022年4月8日 22時) (レス) @page23 id: fdfc39bf59 (このIDを非表示/違反報告)
セイラ(プロフ) - 更新ありがとうございます！！！！いつ見ても素敵な作品...ラストシーン楽しみにさせていただきます！！！！！！ (2022年4月5日 18時) (レス) @page23 id: fb0de82876 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜隠 | 作成日時：2020年9月24日 17時
