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砕け散った閃亜鉛鉱(アニポケ) ページ39

Aが倒れた後のことは、
ゲーチスにも、Nにもよく分かっていなかった。

ゲーチスは真実ごと、レシラムに焼き払うよう命じた。

Nは理想を掲げ、レシラムに語り掛けた。

結果としてレシラムの洗脳は解け、今度はデントとアイリスの機転に形勢は逆転。

岩と氷の壁に閉じ込められ、国際警察にあっさりと捕らえられた。

アク「次の開発兵器を…!」
ゲ「……」

ジュンサー達により搬送される車の中、
隣で騒ぐアクロマを他所に、ゲーチスは茫然自失状態になっていた。

かつては妻を失い、今回は娘を失った。

その絶望は計り知れない。

かつて…自身も不変の平穏は永遠に続いて行くと信じて疑わない、無知で愚かな男だった。

ハルモニアの復権を掲げ、世界を覆そうとした。

それは大きな変化であり、平穏を乱す不穏因子となった。

ゲ「……」

懐から取り出したのは砕けたスファレライト

過去から現在、未来永劫に至るまで愛すると誓った娘からの最期の贈り物───

ゲ「…真実を見抜き、ワタクシを正しい方向へと導くための方法でしたか…」

それは娘からの最期のメッセージ。

ゲ「これがワタクシへの罰だと、言うのですか……」

砕けたそれを握り締め、顔を覆う。

その様子を心配そうに見つめるのは共に行動していた部下、アンジー。

アン「ゲーチス様?」

アク「あの娘は非常に興味がありました…このような事態でなければ、是非実験に参加して頂きたかったものです。」

肩を震わすゲーチスを横目にアクロマは笑う。

科学者に心は必要ない。そう捉える人間は多いが、彼の場合は少し違っている。

ポケモンやヒトの心を中心とした目に見えぬ、根本が不安定で形容し難い定義を計算に組み込んだ仮説を現実へ表す…それがアクロマという科学者の好奇心を駆り立てる。

今回ゲーチスを動かした娘の存在、それはアクロマの好奇心を目覚めさせ、様々な仮説を提起させていた。



…しかし、何もかも遅いのだ。

彼女はゲーチスの手にあるスファレライトのように砕け散り、元に戻すことは叶わない。

こうしてゲーチスへの罰は下った。







〈スファレライト〉
和名:閃亜鉛鉱
パワーストーンとしての効果として、洞察力を高めて真実を見抜き、正しい方向へと導く石と言われている。

手紙(アニポケ)→←無機質の瞳(アニポケ)※暗いので注意



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作者名:イヴ | 作成日時:2024年3月7日 12時

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