贖罪と罰(アニポケ)※暗いので注意 ページ37
貴「真実の部屋…あれは私の閉ざされた過去。
…お父様が目を背けたかった真実から、
私を遠ざける為に用意された檻。」
Aがゲーチスの手を振り払い、後ろに下がる。
貴「サトシ様は、思い出す切っ掛けをくれました…
過去は開かれ、真実を思い出したのです。」
ゲ「お前……記憶が…っ!?」
貴「お父様…真実というものは、
いくら理想で塗り重ねても覆らないのです。
イッシュを手にしても、
世界を手にしても、
お母様はかえって来ません。」
ゲ「っ…!」
貴「そして…1度失ったもの達はかえってくることはないのです。」
N「A、何を…!?」
貴「かつて母に先の見えぬ深淵の先を突き付けられた時、絶望を覚えました。
未来に全ての可能性があり、
これからも平穏は続いて行くのだと…
当たり前に信じていたから。」
貴「母は不変の平穏を願っていました…ハルモニアの慎ましき平和を願っていました。
過去の栄光に囚われず、血に囚われることなく…ただ家族3人の平穏を、願っていました。」
ゲ「………」
貴「これは、お母様がかつて1度だけ使ったもの…見覚えがありませんか?」
Aが懐から抜き出したのは、
ゲーチスにのみ見覚えのあるもの。
ゲ「っ!?、なぜお前がそれを!!」
それはAの母…
ゲーチスの愛した妻を砕いた狂気。
その矛先はゲーチスに向けられる。
貴「私はお父様を愛しています。
…しかし、兄様や女神達のことも、愛しています。
私に、ヒトとしての表し方を…心の指標を示してくれました。」
Aは外に出てから学んだ。
無機質な世界には個が存在しない…
外に出た事で、個を知り、境界を知った。
境界を学ぶことで己という個を知り、
色彩が生まれては消えていく。
そのサイクルこそ''感情''なのだと理解し、
記憶を思い出すことで感情も共に思い出した。
ゲ「やめなさい…!
お前までワタクシの手から…っ!」
貴「お父様…
これは私自身の償いであり、
お父様へ下されるべき罰です。」
ゲーチスに向けられた矛先はゆっくりと方向を変え、かつて母がAに向けた時と同じ場所…
…Aのこめかみに突き付けられる。
ゲ「Aっ!!」
N「待っ…!」
貴「サヨウナラ──」
遺跡を漂う無機質な世界に、乾いた発砲音が響いた。
無機質の瞳(アニポケ)※暗いので注意→←無機的拒絶(アニポケ)
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:イヴ | 作成日時:2024年3月7日 12時