真実(エイプリルフール)終 ページ26
目が覚めた時には日は傾き、夕方に差し迫っていた。
しまった…いつの間に気を失っていたのだろうかと辺りを見渡すと、Aが隣で結晶化学の本を読んでいた。
ゲ「A…」
貴「お父様ごめんなさい、
本日はそういう日なのだと聞いて…」
ゲ「…?」
詳しく聞いて行くと、本日はエイプリルフールであると…
エイプリルフールとは、嘘をつく事を良しとして良い日。
これを知ったNは、Aを使ってゲーチスに罠を仕掛けた。
「父の子を辞める、と嘘を吐け」、と命じたのである。
事の真実を聞いて、衝撃と安心という荒波に揉まれた気分になった。
ゲ「……嘘で良かったと、心底安心しました。」
よく考えれば簡単な事だったのだ。
事実としてAはまず、嘘を吐けない。
感情を忘れ、過去に置き去りとしたAには
真偽の境界がない。
だから、普段は事実のみを淡々と告げる。
そのAが嘘を吐くとしたら、
''第三者による指示''が必要…
ゲーチス以上の権威を持ち、かつAに指示ができる人物は、1人しかいない。
そう、それがNだ。
どこで得たのかは知らないが、Aを使って間接的に仕掛けてきたのは計算している証拠。
ゲーチスは痛む頭を抑えた。
ゲ「ですが…以降N様直々の命であってもですよ?
ワタクシに一度教えなさい…安易に受けないように。」
貴「はい」
Aはただ命に従っただけなのだ。
意思の無い者を責めることは出来ない。
ゲーチスはNへの説教を予定に組み込みながら、
Aに諭すのだった。
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作者名:イヴ | 作成日時:2024年3月7日 12時