接触(RR団との交流1) ページ19
ついて行った先は日当たりの良い窓際だった。
緑の髪が日差しを浴びてキラキラとする様は晴れ渡る草原を思わせた。
窓際に座り込み、日差しを背に受けながら隠し持っていたらしい書物を広げ、読み始める。
ローブに隠された腕が持っていたのは、表紙から察するに結晶化学の専門書のようであった。
フラ「勉強とは感心しますね、お嬢さん。」
頃合を見計らい自然ななりで近寄った。
声を掛けられたことに気が付いたのか、視線は本から上を向き、
赤と青の視線が合う。
貴「……?」
フラ「失礼、私はフレア団代表のフラダリと言います。ゲーチスさんの、お嬢さんですね?」
貴「……父は留守です、言伝なら預かります。」
フラ「いえ、今回は父上ではなくアナタに会いに来たのです。
…失礼ですが、お名前を伺っても?」
貴「…A。」
フラ「Aさんですね、覚えておきます。」
警戒するのは当然と捉えたフラダリは慎重に、かつ自然な形で交流の糸口を探る。
貴「御用とは何でしょうか。」
平均的な少年少女を相手にするのとは違う、
感情の伴わない言動…
父親譲りの口周りの速さを予想していたのだが、実際は機械的な問答のみで、相手側からのアクションはない。
相手側からのアクションが必要不可欠であるアカギが沈黙するのにも納得がいった。
しかしそこはフラダリ、アクションは自分から起こせるタイプで、状況を動かす自信もあった。
フラ「天気も良いので、お暇でしたら共にお茶でもと思ったのですが…ゲーチスさんの許可が必要ですか?」
貴「…父からは、ここの敷地内から出なければ部屋から出ても良いと言われています。」
フラ「そうですか…では、ご案内しましょう。日当たりの良い、良い場所があるのです。」
一貫して好感も嫌悪も見せることはないが、本を閉じ、ついて行く意志を見せた。
ひとまず、機会は作れたようだ。
Aを連れて、フラダリは邸の外へ出た。
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作者名:イヴ | 作成日時:2024年3月7日 12時