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英雄になれぬ者(もしポケモンの声が聞けたら)終 ページ17

「部屋にお戻りください、王様。」

機械的なやりとりの後、半分追い出される形で部屋を出たNは、彼のトモダチ…ポケモン達を連れて部屋へ戻るため城の中を歩いていた。

途中、演説から戻ってきたのだろう七賢人…

ゲーチスとすれ違う。

N「おかえり、ゲーチス」
ゲ「これはN様…このゲーチス、ただいま帰還致しました。」

恭しく頭を下げたゲーチスは挨拶もそこそこに、足早に部屋へ続く廊下を進んでいく。

その後ろ姿を、Nはじっと見つめていた。

───────

Nが出て行った後、Aは静寂の戻った部屋で1人考えていた。

あの囁き声の集まりは何だったのか。

誰が、誰に何を伝えようとしていたのか…

ポケモンと触れ合っていた過去を忘れているAに知る由は無かった。

ゲ「ただいま戻りましたよ、A…」

貴「おかえりなさい、お父様。」

ゲ「変わりありませんでしたか?」

貴「…王様が来た。」
ゲ「!…そうですか、N様が……騒いではいませんでしたか?」

ポケモンの声を聞き、友として連れているNと、ポケモンの声を騒音としか聞き取れないA…

それらが合わさればどうなるか、ゲーチスは知っていた。

貴「………少し、騒々しい音が入りました。

しかし、誰が、誰に何を伝えようとしているのかは、分からないのです。」

英雄…父が望み欲したもの。

Aが過去を忘れたあの日、ゲーチスが必要だとした存在。

貴「私は、父の英雄になれません。

英雄となる声を聞くことは出来ないのです。」

淡々と述べるAを抱き寄せるゲーチス。

ゲ「分からなくて良いのです…

アナタがアナタであれば、
英雄でなくとも、良いのです。」

ゲーチスの計画において、Aに割り振られた役割は無かった。

ましてや英雄なんて……

ゲ「英雄は既に用意されています…
アナタが出てくる必要は無いのです。

アナタはアナタのままで在りなさい。

…ワタクシの願いは、それだけです。」

娘を英雄にしたくなかった…それが本心である。

全てはかつての平穏を…

娘の笑顔を取り戻すため。

廊下での遭遇(RR団との交流1)→←開かれた(もしポケモンの声が聞けたら)



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作者名:イヴ | 作成日時:2024年3月7日 12時

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