宇佐美しか知らない (ページ4)

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早番ということで野間と岡田が自部屋へ帰って行く

やばいー！

宇佐美「え？三島は？…てかその氷なに？」

後ろを振り返りながらそう聞く

三島は食堂から持ってきた氷を手ぬぐいで包んでずっと持っていた

三島「あぁ、熱冷ましですね。谷垣部屋で寝てますから見ててやらないと」

宇佐美「あ…そっか、風邪か」

三島「はい」

宇佐美「うつんなよ」

三島「分かってます^ ^」

宇佐美「じゃあね、なんかあったら呼べよ」

三島「ありがとうございます。おやすみなさい」

宇佐美「おつかれ～」

そういえば谷垣は食堂に来てなかったな

愚痴でいっぱいいっぱいだった

宇佐美「尾形が風邪なんか引いたら隔離で終わりだな」

部屋に帰る気にもなれなくて、タバコを吸いに玄関へ向かう

ふと暗闇に誰かの後ろ姿が見えて声をかけた

宇佐美「あ、月島さん」

月島「ん？宇佐美か」

宇佐美「タバコやめてたんじゃなかったんですか？」

ポケットからタバコを出してそう聞くと苦笑いする

月島「ははっ…ちょっとな、息抜きだ」

顔を近づけて火をうつしてもらう

宇佐美「ありがとうございます」

月島「ふぅ…」

宇佐美「尾形ですか？」

月島「え？」

宇佐美「いや…僕どうやら尾形と気が合わないみたいで、もしかしたら月島さんもそれで疲れてんのかなー…って」

チラッと彼の顔を見ると、困ったように眉を下げて笑っていた

月島「はははっそうか合わないか。大丈夫、俺は違うよ」

宇佐美「…そうですか」

月島「でも大変だな。同室のメンバーと気が合わないなんて。2人とも気がしっかりしてるし、衝突するのかな」

宇佐美「まぁ…はい」

月島「お前は尾形より年上だからしっかり言ってやってくれ。ここではアイツが後輩だから」

宇佐美「はい」

そうは言われても…僕アイツと喋りたくないし

宇佐美「はぁ～…」

月島「はははっ、お手上げか？」

宇佐美「そんなとこです」

と、誰かが玄関の扉を開けて声をかけてきた

上官「月島軍曹～、ちょっと来てくれ～」

月島「あ、分かりましたー！…じゃあまたな」

宇佐美「お疲れ様です」

タバコを消して走っていく月島さんに、心底凄いなと思わされる

宇佐美「……ふぅ～…」

暗い空に昇っていく煙に「早く部屋替えさせてくれ」と祈った

＊

部屋に入るとランプは消され、尾形は寝ていた

宇佐美「……」

普通に起こすのさえ嫌なので、棚から一冊本を出す