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言われたのは意外にも

「手伝いましょうか」

宇佐美「え?…あ…これ?」

書類を指差してそう聞くと、自分の万年筆を筆箱から出しながら頷いた

尾形「はい。お疲れのようですし…それに俺、これでも書道特待生なんですよ」

宇佐美「えっ、すご…」

何も言わずに書類を半束ほど掴んで持って行くと、隣の机で迷いなく書き進めていく

宇佐美「…万年筆なんて勿体無いし、使わないほうがいいよ?」

そう言うと「これしかなくて」と返ってきた

嫌味にもヤツの万年筆は僕のなんかよりもっともっと上等なもので

こんな安物の筆…貸せないと思った

宇佐美「じゃあ頼んだよ」

尾形「はい」

おかげで作業はさっさと終わって、すぐ月島さんに渡せた



宇佐美「終わりました」

月島「えっ、もうか?」

宇佐美「あ……はい」

尾形のことを言おうか悩んだが、後輩をこき使ってるとも思われたくなくて黙る

月島「そうか、さすがだな」

宇佐美「いえ…」

書類を受け取り、ペラペラとめくる月島さん

月島「あ、でも宇佐美」

宇佐美「はい?」

月島「早いのはいいが…自分の苗字間違えるなよ」

宇佐美「え?」

苦笑いしながらそう言ってくるので、何のことだと聞き返す

月島「ホラ、これだよこれ」

急いで書類を覗くと『宇佐美』のところが『宇佐見』になっていた

宇佐美「あ、これ…」

万年筆で書かれたその文字は美しく、確実に僕の文字ではない

月島「はははっドジだな〜」

宇佐美「はっ、ははは…」

今更『尾形が間違えました』とも言えなくて焦る

月島「俺がなおしとくからいいよ。ありがとうな」

宇佐美「は、はい…」

尾形アイツ何やってんだよ

キィ…

部屋に戻るなり、尾形が口を開いた

尾形「…自分の苗字間違えるなんてドジですね」

宇佐美「え?」

その言葉に一瞬背筋が冷たくなる

尾形「俺が手伝ったこと言わなかったですよね」

宇佐美「…え?」

ベッドに座りながら、銃を磨く尾形

尾形「…宇佐美さんは自分の出世のために、後輩が手伝ったこと隠したりする人だとは思いませんでしたよ」

こっちも見ずに薄ら笑いを浮かべながらそう言うと、ゴンと音を立てて銃を床に置いた

宇佐美「……」

こいつ…わざと間違えたな

宇佐美「試したのか」

尾形「別にそうじゃないですけど」

すこし笑いながらそう言い、布団をかぶる尾形

尾形「書類書いて疲れたんで寝ますね」

宇佐美「〜〜っ…」

ホンット嫌なやつ

3→←そいつ



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設定タグ:ゴールデンカムイ , 宇佐美上等兵 , 尾形百之助   
作品ジャンル:アニメ
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和乃佳 - あぁ、どうか更新を、、、更新を、、、 (2020年8月18日 22時) (レス) id: 06de6e20e0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マネキン | 作成日時:2019年1月6日 1時

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