5.悪魔 ページ7
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「お前の名前はA。A・レイヤーだ。名を聞かれたら、この名前を名乗れ」
「A....レイヤー......キレイな名前だね!」
私の名前って、本当はなんなの?
「確かに、銀髪に赤目は珍しい容姿ですしね」
「瞳も綺麗やなぁ。血みたいで全部吸い尽くしてみたいわ」
キレイって.....なに....?
「あの子供は疫病神から産まれし悪魔の子供だ!近付いたら何が起こるか分からないぞ!!」
「こんな悪魔、私は産んでない!!」
悪魔って....なんなの....?
「A。お前はもう、」
いや....やめて....
「普通の人間には、」
それ以上.....
「なれないんだよ」
言わないでっ.....!!
パリンッと窓ガラスか何かが割れた音がしたと同時に、私は勢いよく起き上がった。
心臓は激しく動悸し、視界もグラグラと目眩の如く回っていた。
息も軽く過呼吸になっており、まさに死ぬ直前の様な状態だ。死んだことないけど。
いやそんなこと言ってる場合じゃない。こう云う時はまず目を瞑ってゆっくりと呼吸をすれば良かった筈だ。
私は教会に残してあった医書に書いてあった通りに目を瞑って、ゆっくりと呼吸をした。
段々と心臓の動きも落ち着いてきた頃、走っている様な足音が聞こえ、そして部屋の扉がバンッと勢いよく開かれた。
「先刻此処の部屋からパリンッ云う音聞こえたけど大丈夫やったか!?」
そう言って、私を心配しているのか近付いてくる僵子の形りをした金髪の人。
先刻の夢のこともあって、私は無意識にベッドから飛び出て、距離を空けた。
この人が私のことを心配している辺り、少なからず情を持っているのは分かる。でも、やはり怪物は怪物。それにあの夢と相まって、距離を空けるのは仕方のないことなんだ。
心底驚いた様な顔をした怪物に、私は言った。
『私は大丈夫です...ので、一人にさせてもらっても、いいです、か?』
震える声でそう尋ねた私。
「......大丈夫、やったんか。それなら良かったわ。あ、自分の名前はセンラ言います。うらさんが君のこと先刻呼んでたから早めに行きなさいね」
小さい間を空けてからそう言い終わったセンラ....さん?は、特に何もしてこないで、ササッとこの部屋から出ていった。
本当に、心配してくれてただけ、だったのか。
「はぁ」と体の力が一気に緩まり、私は地面にペタッと太股をつけた。
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心愛 - 更新楽しみに待ってますので戻ってきてください! (2018年11月28日 22時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レ=と=ロ | 作成日時:2018年10月28日 0時