3.え...? ページ5
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ロビーに近付いて行くと同時に聞こえてくる謎の悲鳴声。
『?何かあったのでしょうか?』
う「.....」
私達は少し早歩き気味にロビーに向かった。
そして、私の目に映ったのはまさに地獄絵図そのものだった。
『ぁ....ぇ...?』
先刻まで優雅に踊っていた紳士淑女は無惨な程バラバラに切り刻まれ、そこから流れ出てくる血はピチョッと私の靴にこびり付いた。
「ひぃっ」と情けない声を出しながら一歩二歩と後退る私。
ドンッ
『!ぁ、うらたさっ......!?』
あれ....誰.....
確かに、私の後ろに居たのはうらたさんだった筈。
でも、私の背後に居たのは、あの柔らかな目で見てくるうらたさんではなく、凍てつく冷たい目で此方を射抜く様に見てくる誰かだった。
うらたさんの筈なのに、うらたさんじゃない誰か。
頭には赤紫色の悪魔の角の様なモノを生やし、背中には天使をも連想させるような白い翼が生えていた。
そして肩には謎のたぬき。
「うらさんが前から気になってた子って、まさかこの銀髪の子?確かに見た目は上玉やけど、肉は全然付いとらんで?」
貴族の人達を切り刻んだであろう一人は、私の頭をガシッと鷲掴みにして顔を上げさせた後そんなことを言った。
急に迫ったアメジストの瞳は、私の瞳をしっかりと射止めている為、目を逸らすことが出来なくなった。
「瞳も綺麗やなぁ。血みたいで全部吸い尽くしてみたいわ」
そう言って、その切れ長な目を細めさせた。
私はその言葉と目に、ゾクッと嫌な悪寒が走った。
「.....志麻....離れろ」
後ろから聞こえたドスの効いた声は、一瞬心臓が止まったんじゃないかと思うほど私の心を震撼させた。
「......へぇ、なるほどね」
志麻、と呼ばれた人は謎の呟きを溢した後、私の頭をゆっくりと離し、そしてうらたさん(仮)の言う通り私から三歩程離れた。
逆光に照らされたその人の格好は、肩に金色のライフルをぶら下げていて、右手には銃器が握られている形りだった。
服装は軍隊にでも見立てたかのような迷彩柄の紫軍服で、顔や腕には見るに堪えない様な傷痕が痛々しい程付いていた。
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心愛 - 更新楽しみに待ってますので戻ってきてください! (2018年11月28日 22時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レ=と=ロ | 作成日時:2018年10月28日 0時