黒き舞姫の舞踏会

好きなのか？ ページ37

「ふわぁ…おはようございま〜す…」

「遅いぞA！」

朝…というか昼近くに出勤した僕を出迎えてくれたのは国木田さんの怒鳴り声だった。

「昨日は久しぶりに体動かしたんで疲れたんですよ…」

嘘。ほんとは夜遅くまで鏡花に似合いそうな服を通販で探してたせいで寝不足なだけ。←

「あれ？敦くんは？」

「…賢治と現場に行っている」

おやまあ。←

「それはそれは…敦くん気付きますかねえ」

敦くんは脳内常は…すごく素直な子だから独特な賢の仕事手順を信じ込むだろうね…。

「…聞きたくないんですけど聞きます。太宰さんはどこですか？」

いくらなんでも遅い。

あの人ならこの程度一日かからず終わらせるはずなのに。

ポートマフィアに始末されたとは考えにくいし…作業に手間取ってるのか？

「分からん。…全くどこで何をしているのだあの迷惑噴霧器は」

そう言えばお前は太宰を助けに行ったんじゃなかったのか？と聞かれる。

「それはそうなんですけど…調べたいことがあるから帰ってくれって言われました」

「あいつは…！」

国木田さんご立腹であります。

「まあ大丈夫ですよ。もちろんあの人の分の書類は手をつけずに放置しときましょうね」←

あ、別に中也さんが弱いから大丈夫とかそういう訳じゃないよ。

元相棒だし、あの人たちお互いにお互いを嫌ってるから。

太宰さんのことだからすごい嫌がらせをして『知りたいこと』とやらを聞き出すんだろうな…。

「以前から思っていたが、Aは太宰のことが好きなのか？」

「は？」

何言ってんの国木田さん。

僕が？太宰さんを？

ないないないないないないないない。

「ありえませんよ！というかなんでそういう結論に至ったんですか？！」

「皆が放置していた太宰の捜索を1人でやったから…だな」

それだけか！それだけの理由でか！

「別に太宰さんのことは好きじゃありませんよ。人間的に言えば嫌いなくらいです」

昔からサボってばっかだし嫌がらせばっかりだし。

「でも、先輩や探偵としてって意味なら尊敬してますし好きですよ」

それにあの人は、僕ら姉弟の命の恩人だしね。

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宮沢賢治

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