お姉ちゃん嬉しい ページ26
倒れてくる男を避け、弟に向き合う。
「助かったよ、ありがと」
「…命令通りに裏切り者を始末しただけのこと」
まあそうだよね。
僕も僕を助けたせいで龍があそこから追い出されるのは嫌だからそういうことにしておこう。
「お前は…」
「ポートマフィアの芥川…!」
「然り」
龍はうなずき、異能を発動させる。
「羅生門」
まあたかだか50人くらい龍ならすぐ終わるよね。
「派手にやったねえ」
僕は一切手を出さず、ただ見ていた。
龍が全部やったようにしないとお互い面倒だからね。
「Aは、なぜ此処に?」
「依頼だよ。異能特務課からのね。ここを潰してポートマフィアの情報を手に入れろってさ」
そう言うと龍は異能で僕を縛り、のど元に鋭くとがらせた外套─────刃を突きつける。
そんな行動に、思わずニヤリと笑ってしまう。
「昔は僕に怪我させちゃっただけですっごい落ち込んでたのに、成長したねえ。お姉ちゃんは嬉しいよ」
おどけて言うが、龍の表情は変わらない。
「Aは、この件をどう報告するつもりだ?」
あ、なんだそんなこと。
「来た時にはこの状態でした、一歩遅かったようです。これで終わりだよ」
「その程度でごまかせるほど異能特務課は馬鹿ではない」
「そうだね。じゃあこうしよう」
僕は龍に一つの提案をする。
「羅生門で頬でも切ってくれれば駆けつけた時にはこの状態でポートマフィアの芥川龍之介と戦闘になり、逃げられました。これで通る。無理だったら…まあその時はその時だよ」
微笑むと、のど元にあった刃が左頬をかすめた。
一筋の赤い線が入ったようで、少しひりひりする。
「一つ教えよう。残念ながらAたちの望むものはここにはない」
龍は僕を解放すると一つ咳をした。
そして、僕をまっすぐに見つめる。
「いずれまた会おう」
「うん。またね」
それだけ言うと、龍は去っていった。
「さて、と」
僕はポケットから携帯を取り出し、数時間前に登録したばかりの番号に電話をかける。
「一足遅かったです。情報もないようでした。…はい。詳しいことは後程。
…え、今ですか?でも現場は…あーはいはい、解りましたよ安吾さん。
ちゃんと行きますから」
電話を切り、ため息をつく。
「まさか太宰さんはこうなることを予想してて来なかったんじゃ…」
はあ…憂鬱だ。
ラッキーキャラ
宮沢賢治
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風鈴(プロフ) - ドルチェさん» ありがとうございます!これからまた1日1話更新を心がけていきたいと思いますのでよろしくお願いします! (2016年6月1日 21時) (レス) id: 03566c106c (このIDを非表示/違反報告)
ドルチェ - 交信お疲れ様です! やっぱりいいですねぇ、流石です!!次も頑張って下さい!応援してます! (2016年6月1日 6時) (携帯から) (レス) id: 4b2aa12345 (このIDを非表示/違反報告)
風鈴(プロフ) - ドルチェさん» ありがとうございます!アンケートが終わりましたらまた書き始めますのでよろしくお願いします! (2016年5月27日 7時) (レス) id: 03566c106c (このIDを非表示/違反報告)
ドルチェ - 初めまして!!ドルチェと言います。 黒き舞姫、拝見させてもらってます。 私は中也さんと芥川さん圧しです!! これからも頑張って下さい! 応援してます!! (2016年5月27日 6時) (携帯から) (レス) id: 4b2aa12345 (このIDを非表示/違反報告)
風鈴(プロフ) - オルカさん» ありがとうございます!これからも頑張ります! (2016年5月25日 20時) (レス) id: 03566c106c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風鈴 x他1人 | 作成日時:2016年5月10日 22時