苦しい、辛い、でも大好き ページ20
「そんなこともあったっけ」
龍にあったせいだろうか。
あの頃の夢を見た。
探偵社に帰って来てすぐ、僕は敦くんの隣のベッドを借りて寝た。
目が覚めたのは次の日。
どうやら僕はたっぷり半日は寝ていたらしい。
「ふわぁあ…」
「お目覚めかい？姫君」
入ってきたのは太宰さん。
現在時刻は午前6時。
僕は起き上がり、ベッドに腰掛ける。
「珍しいこともありますね。あなたがこんなに早く出社するなんて」
「Aがいつまでも寝ているというから心配でねえ」
いつものことだけど笑顔がうさんくさい。
「西洋にはね、ずっと眠り続ける姫を王子が口づけをして起こすという物語があるのだよ」
「やめてくださいだいぶ真剣に」
訂正しよう。うさんくさいじゃない。
気持ち悪い。←
「まあ、君には王子様がいるしねえ」
ちっちゃい王子様が、と笑う太宰さん。
「きっとあの人は、僕のことなんてもう嫌いだと思いますよ」
そう、置き手紙だけを残して何も相談せず組織を抜けた僕を。
まだ好きでいてくれているはずがない。
「でも、僕の中であの人はいつまでも王子様なんですよ」
苦しい。辛い。
でも、後悔はしていない。
太宰さんに笑いかける。
すると太宰さんは、一瞬悲しそうな顔をした。
そして、僕は彼に抱きしめられる。
「太宰、さ…」
「そんな悲しそうな顔で笑うんじゃない」
僕が、悲しそうな顔を…？
「そんな顔してましたか？」
僕は笑いながら言うけど、太宰さんの声は真剣で、少し震えていて。
「今ここには私と君しかいない。ここで、すべて吐き出したまえ」
そんな、いつになく優しい太宰さんに。
僕は縋ってしまう。
「胸が、苦しいんです」
「うん」
「離れてから、好きって気持ちは大きくなる一方で」
「うん」
「自分で決めたことだし、後悔もしてません」
「…うん」
「っ…でも、嫌いになられたと思うと、やっぱり悲しくてっ…」
「うん」
「大好き、なんですっ…」
「…うん」
いつのまにか泣いていた僕を、太宰さんは優しく抱きしめてくれていて。
そっと、頭を撫でてくれたその大きな手が優しくて。
でも、あの人の少し小さい手でくしゃっとされるのとはやっぱり違って。
切なくって、苦しくって。
自分で選んだ道なのに。
後悔だってしてないのに。
涙が、止まらないんだ。
ラッキーキャラ
宮沢賢治
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風鈴(プロフ) - ドルチェさん» ありがとうございます！これからまた1日1話更新を心がけていきたいと思いますのでよろしくお願いします！ (2016年6月1日 21時) (
レス) id: 03566c106c (このIDを非表示/違反報告)
ドルチェ - 交信お疲れ様です！ やっぱりいいですねぇ、流石です!!次も頑張って下さい！応援してます！ (2016年6月1日 6時) (携帯から) (レス) id: 4b2aa12345 (このIDを非表示/違反報告)
風鈴(プロフ) - ドルチェさん» ありがとうございます！アンケートが終わりましたらまた書き始めますのでよろしくお願いします！ (2016年5月27日 7時) (レス) id: 03566c106c (このIDを非表示/違反報告)
ドルチェ - 初めまして!!ドルチェと言います。 黒き舞姫、拝見させてもらってます。 私は中也さんと芥川さん圧しです!! これからも頑張って下さい！ 応援してます!! (2016年5月27日 6時) (携帯から) (レス) id: 4b2aa12345 (このIDを非表示/違反報告)
風鈴(プロフ) - オルカさん» ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2016年5月25日 20時) (レス) id: 03566c106c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：風鈴 x他1人 | 作成日時：2016年5月10日 22時
