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上司として ページ14

☆中也side


紅葉の姐さんにAを任せ、俺はあるやつのところへ向かう。

そいつの部屋の前に立ち、ドアをノックする。

「どうぞー」

俺はドアを開け、正面の椅子に座って書類を書いて…いや、書類で遊んでいるそいつを見据えた。

「やあ、中也じゃないか。珍しいね、なんの用だい?」

「わかってんだろ」

すると奴はため息をつく。

「Aのことかい?」

そう。俺がこの大っ嫌いな奴の部屋に来た理由はA。

「確かにあれは首領の命令だしあいつの意志でもある。けどなァ、限度ってもんがあるだろ」

首領に命じられた『あらゆる能力を叩き込むための手段』の一つ、拷 問訓練。

打撲や打ち身、切り傷くらいは仕方がない。

だがその量がおびただしい。

怪我をしていないところを探す方が難しいくらいだ。

「熱した火かき棒で折檻は、さすがにやりすぎだ」

姐さんを待つ間、折檻されたのは1週間前だと聞かされた。

あいつはずっと隠していた。

俺や弟を心配させないために。

気づいてやれなかった。

そのせいで、あの体で戦闘にも出させてしまった。

ただそれが、情けなくて自分に怒りが湧いてくる。

「中也、私がなぜAにそこまでするのか分かるかい?」

いつになく真剣な声で言いやがる太宰。

「もちろん、首領の命令だというのも彼女自身の意思だというのもあるけどね」

そこでやつは、微笑んだ。

「Aに死んで欲しくないからだ。そのために、彼女には強くなってもらわなければならない」

俺は驚いた。

こいつが他人にそんな思いを抱いていたとは。

「私もね、あの子を結構気に入っているのだよ」

それでも、言っておかなきゃならない。

「それでもだ。あいつは俺の部下で、大事な戦力。キズモノにされちゃ困る」

「そろそろ中也がそう言ってくると思ってね。さっき首領に書類を提出してきたのだよ」

書類?

「Aの訓練に関する報告書だ。彼女は優秀だから口を割ることはまずないだろう、これ以上やればマフィアの主戦力が小さくなる、と書いておいたよ」

首領も承諾したから今日で終わりだ、という太宰。

そう、か。

「ならいい。俺は帰る」





俺はあいつの怪我に気付けなかった。

気づいていれば戦闘にも出さなかった。

怪我が酷くなることもなかったはず。

だから俺は上司として、1人の男として、あいつの強くなりたいという意志を尊重したい。

怪我が治り次第、今度は俺が徹底的に体術を叩き込んでやる。


覚悟しとけ。

優しい弟→←紅葉の姐さん


ラッキーキャラ

宮沢賢治


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風鈴(プロフ) - ドルチェさん» ありがとうございます!これからまた1日1話更新を心がけていきたいと思いますのでよろしくお願いします! (2016年6月1日 21時) (レス) id: 03566c106c (このIDを非表示/違反報告)
ドルチェ - 交信お疲れ様です! やっぱりいいですねぇ、流石です!!次も頑張って下さい!応援してます! (2016年6月1日 6時) (携帯から) (レス) id: 4b2aa12345 (このIDを非表示/違反報告)
風鈴(プロフ) - ドルチェさん» ありがとうございます!アンケートが終わりましたらまた書き始めますのでよろしくお願いします! (2016年5月27日 7時) (レス) id: 03566c106c (このIDを非表示/違反報告)
ドルチェ - 初めまして!!ドルチェと言います。 黒き舞姫、拝見させてもらってます。 私は中也さんと芥川さん圧しです!! これからも頑張って下さい! 応援してます!! (2016年5月27日 6時) (携帯から) (レス) id: 4b2aa12345 (このIDを非表示/違反報告)
風鈴(プロフ) - オルカさん» ありがとうございます!これからも頑張ります! (2016年5月25日 20時) (レス) id: 03566c106c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:風鈴 x他1人 | 作成日時:2016年5月10日 22時

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