強くなるための痛み ページ12
これは、「僕」が「私」だった頃の話。
「かはっ…!」
鳩尾に鈍い痛みが走る。
椅子に縛られているため満足に動くこともできない。
だが彼は容赦なく、私の前髪をつかんで引っ張り上げる。
「その程度でへばってちゃ話にならないよ」
それとももう降参かい?、と問う彼を睨みつける。
「誰が、そんなこと言いました?」
ニヤリと笑ってみせる。
「そう、その意気だ」
今度はナイフをほおに当ててくる。
そして、スッと動かした。
「つっ!」
少し痛い。
「降参するかい?」
そんなの。
「するわけないでしょう」
ここでいう降参は拷 問に屈し情報を、組織を敵に売ること。
それはすなわち命の終わりを意味する。
彼は私からナイフを離しにっこりと笑う。
「いいや。今日はここまでね」
縄を解いてもらい、立ち上がる。
体中が痛い。
殴られ蹴られでの打撲、ナイフでの切り傷、今日はさすがになかったが1週間ほど前に受けた熱した火かき棒で折檻されたところ。
その全てが痛む。
「どうしたんだい?早く行きたまえ」
笑顔で言われるとキツイ。
普段は結構いい人なのに。
だが仕方がない。
これも組織のため。
そして、私自身が強くなるためだ。
「はい…太宰さん」
やっとの思いで医務室にたどり着く。
もう消毒をする気力も、包帯を巻く体力もなく。
ベッドに寝転がるも体中が痛くて痛くてとても寝られたものではない。
呼吸をするたびに傷が布団に擦れる。
だが起き上がることもできない。
「はぁ…」
痛いのがわかっているというのに、ため息をついたその時。
「こりゃまた酷くやられたもんだな」
医務室に入って私にそういったのは。
「中也…さん」
私の直属の上司だった。
ラッキーキャラ
宮沢賢治
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風鈴(プロフ) - ドルチェさん» ありがとうございます!これからまた1日1話更新を心がけていきたいと思いますのでよろしくお願いします! (2016年6月1日 21時) (レス) id: 03566c106c (このIDを非表示/違反報告)
ドルチェ - 交信お疲れ様です! やっぱりいいですねぇ、流石です!!次も頑張って下さい!応援してます! (2016年6月1日 6時) (携帯から) (レス) id: 4b2aa12345 (このIDを非表示/違反報告)
風鈴(プロフ) - ドルチェさん» ありがとうございます!アンケートが終わりましたらまた書き始めますのでよろしくお願いします! (2016年5月27日 7時) (レス) id: 03566c106c (このIDを非表示/違反報告)
ドルチェ - 初めまして!!ドルチェと言います。 黒き舞姫、拝見させてもらってます。 私は中也さんと芥川さん圧しです!! これからも頑張って下さい! 応援してます!! (2016年5月27日 6時) (携帯から) (レス) id: 4b2aa12345 (このIDを非表示/違反報告)
風鈴(プロフ) - オルカさん» ありがとうございます!これからも頑張ります! (2016年5月25日 20時) (レス) id: 03566c106c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風鈴 x他1人 | 作成日時:2016年5月10日 22時