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そこから逃げるように走った。
鬱蒼とした森の中を、行くあてもなく駆け回る。
隣に彼はいない。無論、俺が今逃げているのは他の誰でもない、君なのだから。
「っはぁ、はぁ.....っ」
苦しい。この苦しさは走ったからなのか。胸の奥底から込み上げてくるこの涙は一体。
このどうしようもない喪失感は、一体。
「………ごめん、きりやん…」
走って、走って、走って、行き着いた場所で膝に手をついた。
早まる鼓動と焦る呼吸は落ち着くことを知らず、夜風が嫌な汗に吹き付けて寒気が走る。あんなにも綺麗だった星空は分厚い雲に隠れ、一向に月は顔を見せない。
どれくらい離れたのか、どのくらい走ったのか、知る余地もない。しばらくして崩れ落ちるように膝を着いたそこは、人知れぬ森の静寂の中だった。
「…っ、やっぱ可視化、するべきじゃ、なかったのか、な………」
今更になって後悔の念が襲う。
天界から死神追放処分を受けたあの日、創世神は一つだけ願いを叶えてやると言ってきた。
俺は観察対象者にだけ自分の姿が可視化できるように頼んだ。ただの好奇心だった。自分と会話できる人が一人、それも日本一の殺人鬼なんて、想像するだけで面白かったから。
君だけにしか見えない俺は、死神の本能に抗えずに魂を狩ろうとしてしまった今、もうそばに居ることはできない。
「ごめん…」
――
「...スマイル.........」
その日から、スマイルは俺の前に姿を見せることはなかった。
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秋乃みなと(プロフ) - ゆんさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました！心に残る文を書けていたなら嬉しいです...! 次回作でまたお会いできたら幸いです。本当にありがとうございました！ (2022年5月3日 7時) (
レス) id: 480327bdf9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - 完結おめでとうございます。言葉選びや情景描写が大好きです。思わず泣いてしまいました。素敵な作品をありがとうございました。 (2022年5月2日 21時) (レス) @page24 id: 90a7e1b245 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：秋乃みなと | 作成日時：2022年3月20日 18時
